企業法務コラム

2022年03月24日
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人材派遣会社の仕組み・派遣事業の立ち上げ前に知っておくべきこと

人材派遣会社の仕組み・派遣事業の立ち上げ前に知っておくべきこと

これから人材派遣会社を立ち上げようと思っても、具体的に何から始めればよいのかわからないという方は少なくありません。

人材派遣会社を立ち上げる際には、その仕組みや要件などをしっかりと理解しておかなければ、思うような成果を挙げられない可能性もあります。

今回は、人材派遣会社の仕組みや事業の立ち上げ前に知っておくべき注意点などについてベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、人材派遣会社の仕組み

人材派遣会社とは、どのような仕組みの事業なのでしょうか。
以下では、人材派遣会社の基本的な仕組みについて説明します。

  1. (1)人材派遣会社とは

    人材派遣会社とは、自社が雇用している労働者を派遣先の依頼に応じて提供をする事業を行う会社のことをいいます。

    人材派遣会社の大きな特徴としては、労働者が雇用契約を締結した会社と実際に働く会社が異なるという点です。
    一般的な会社では、労働者は、雇用契約を締結した会社で働くことになりますが、人材派遣会社では、雇用契約を締結した会社(派遣元)ではなく、派遣先企業において働くことになります。

  2. (2)人材派遣の種類は3つ

    人材派遣には、「登録型派遣」、「常用型派遣」、「紹介予定派遣」の3種類があります。以下では、それぞれの種類の人材派遣の内容について説明します。

    ① 登録型派遣
    登録型派遣とは、派遣労働の希望者をあらかじめ登録しておき、実際に労働者派遣を行う際に、派遣登録者と派遣元会社が期間の定めのある労働契約を締結することをいいます。
    一般的に「労働者派遣」というとこの登録型派遣をイメージする方が多いでしょう。

    登録型派遣の特徴としては、派遣会社に登録しているだけでは雇用関係は生じておらず、給料は発生しないということ、派遣先での就業期間が終了すると、派遣会社との雇用契約も終了するという点が挙げられます。

    ② 常用型派遣
    常用型派遣とは、派遣会社が常時雇用する労働者を派遣先会社に派遣することをいいます。常用型派遣の場合には、派遣労働者は、派遣会社との間で常に労働契約を締結した状態ですので、派遣先が決まらない状態であったとしても、給料の支払いを受けることができます

    そのため、登録型派遣のように登録だけすればよいというわけではなく、派遣会社で入社試験や面接を受けて、採用選考に通過しなければなりません。

    ③ 紹介予定派遣
    紹介予定派遣とは、派遣契約終了後に派遣先会社との間で直接雇用契約を締結することを前提として、一定期間派遣先で就業することをいいます。
    一定期間が経過後に派遣労働者と派遣先企業が合意をすれば、派遣先会社の労働者として雇用契約を締結することになります。

    紹介予定派遣として、職業紹介を行うためには、厚生労働大臣による職業紹介事業の許可が必要になります。

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2、一般労働者派遣と特定労働者派遣の違い

労働者派遣事業には、一般労働者派遣と特定労働者派遣の2種類が存在していました。
特定労働者派遣は、既に廃止されてしまいましたが、以下では、それぞれの派遣事業の内容について紹介します。

  1. (1)一般労働者派遣と特定労働者派遣の違い

    一般労働者派遣と特定労働者派遣にはどのような違いがあるのでしょうか。

    ① 一般労働者派遣とは
    一般労働者派遣とは、特定労働者派遣事業以外の労働者派遣事業のことをいいます。
    たとえば、登録型派遣を行う事業がこれにあたり、一般労働者派遣事業を行うためには、厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。

    ② 特定労働者派遣とは
    特定労働者派遣とは、常用雇用労働者のみを労働者派遣の対象とした労働者派遣事業のことをいいます。
    特定労働者派遣を行うためには、一般労働者派遣のような許可ではなく、厚生労働大臣への届出だけで足ります。

  2. (2)特定労働者派遣の廃止について

    以前は、一般労働者派遣と特定労働者派遣の2種類の派遣事業が存在していましたが、平成27年の労働者派遣法の改正によって、平成27年9月30日から労働者派遣事業は、許可制の一般労働者派遣事業に一本化されることになりました。

    特定労働者派遣事業の経過措置も平成30年9月29日で終了していますので、現在の派遣事業は、すべて厚生労働大臣の許可を得て行っていることになります。

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3、人材派遣会社の利益率の目安

これから人材派遣会社を立ち上げ派遣事業を展開していこうとする場合に気になるのが派遣事業によってどの程度の利益が見込めるのかということです。

以下では、人材派遣会社の利益の仕組みや料金の内訳について説明します。

  1. (1)人材派遣会社の利益の仕組み

    派遣先企業から支払われる派遣料から派遣労働者に支払う賃金を差し引いたものを「マージン」といいます。
    人材派遣会社は、派遣先企業からマージンを得ることによって利益を得ています

    しかし、マージンがそのまますべて人材派遣会社の利益になるというわけではありません。人材派遣会社は、このマージンから社会保険料、広告運営費、派遣スタッフの有給休暇費用などの経費を支出していますので、それらを控除した残りが、人材派遣会社の営業利益になります。

  2. (2)人材派遣会社のマージンの実情

    一般社団法人日本人材派遣協会の統計によると、派遣料金の内訳としては、以下のような構成になります。

    • 派遣社員賃金……70.0%
    • 派遣会社諸経費……13.7%
    • 社会保険料……10.9%
    • 派遣社員有給休暇費用……4.2%
    • 営業利益……1.2%

    人材派遣会社のマージン率は、業種によって異なってきますが、平均で20~30%です。そこから諸経費を支払っていくと、人材派遣会社が得られる利益としては、1.2%程度になります。
    マージン率が高いため、人材派遣会社が得られる利益も多いと思いがちですが、営業利益としては、そこまで高くはありません。

    多くの人材を派遣している場合には、安定して利益を得ることができるという反面、事業規模が小さい場合には、多くの利益を上げることは難しいこともあります

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4、派遣元(人材派遣会社)の義務と責任

人材派遣事業を行う場合には、人材派遣会社にもさまざまな義務と責任が生じることになります。以下では、人材派遣会社が負う主な責任について説明します。

  1. (1)雇用保険の加入責任

    派遣労働者は、派遣先に派遣されて労働をしていますが、派遣労働者と雇用関係にあるのは、派遣先ではなく人材派遣会社です。
    そのため、以下の要件を満たす場合には、人材派遣会社は、雇用保険に加入しなければなりません

    雇用保険に加入が必要となる場合
    • ① 雇用契約期間が31日以上もしくは31日以上になる見込みがある
    • ② 契約で決められた1週間の労働時間が20時間以上
  2. (2)労災保険の適用

    派遣労働者は、人材派遣会社との間に雇用関係がありますので、労災保険の適用は、人材派遣会社で行います

    ただし、派遣労働者が労災によって死亡または休業した場合には、派遣先および人材派遣会社がそれぞれの事業所を管轄する労働基準監督署長に対して、労働者死傷病報告を提出しなければなりません。

  3. (3)派遣労働者に対する「派遣元」と「派遣先」の責任分担

    派遣労働者の安全衛生確保義務については、派遣法第45条の特例規定によって、労働安全衛生法の適用を受けることになります。

    しかし、労働者派遣事業では、派遣先と派遣労働者との間に指揮命令関係が生じることになりますので、派遣元だけでなく派遣先も事業者としての責任を負うことがあります。

    • 派遣元の義務
    たとえば、雇い入れ時や作業内容変更時の安全衛生教育、派遣労働者に対する一般健康診断、医師などによる面接指導については、派遣元の義務とされています。

    • 派遣先の義務
    • 労働者の危険または健康障害を防止するための措置、危険有害業務就業時等の特別教育、有害業務等の特殊健康診断については、派遣先の義務とされています。

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5、人材派遣事業を立ち上げる際の注意点

人材派遣事業を立ち上げる際には、以下の点に注意が必要です。

  1. (1)派遣会社の設立要件

    人材派遣事業を立ち上げるためには、主に以下のような要件を満たす必要があります。

    ① 基準資産額
    人材派遣事業の立ち上げには、2000万円以上の資産を有していることが求められます。
    さらに、資産の内訳としては、1500万円以上が現金であることや基準資産額が負債総額の7分の1以上であることが求められます。

    ② 事業所要件
    事業所の設置に関する要件として、以下の要件を満たすことが必要になります。

    • 風俗営業や性風俗特殊営業などが密集するなど事業の運営に好ましくない位置にないこと
    • 事業に使用し得る面積がおおむね20㎡以上あること

    ③ 派遣元責任者の資格
    派遣元責任者とは、派遣労働者の雇用管理を行い、適切な環境で業務ができるように労働条件などの管理を行う責任者です。
    派遣元責任者の資格を取得するためには、一定の雇用管理経験に加えて、派遣元責任者講習の受講が必要になります。

    ④ 派遣労働者の教育・訓練に関する制度の整備
    平成27年の派遣法の改正によって、派遣元企業には、派遣労働者に対する教育訓練機会の提供が義務付けられました。
    そのため、派遣労働者の教育訓練に関する計画が適切に策定・整備されていることなども要件となります。

  2. (2)厚生労働省への労働者派遣事業の許可申請

    上記の要件を満たした場合には、必要書類をそろえて、労働局に労働者派遣事業の許可申請を行います。

    許可申請後は、以下のような流れで審査が行われ、問題がなければ許可が下り、労働者派遣事業をスタートすることができます。

    審査の流れ
    • ① 労働局による申請書の調査
    • ② 事業所の現地調査
    • ③ 厚生労働省による審査内容の確認
    • ④ 厚生労働大臣から労働政策審議会に対する諮問

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6、まとめ

労働者派遣事業の立ち上げにおいては、許可申請のための準備に時間や手間が取られることになります。許可要件も非常に複雑なものとなっていますので、きちんと要件を満たす内容で申請を行わなければ、許可してもらうことができません。

そのため、労働者派遣事業の立ち上げを検討している場合には、企業法務に詳しい弁護士に相談することをおすすめします
早めに弁護士に相談をすることによって、よりスムーズに許可申請手続きを行うことが可能になります。

労働者派遣事業の立ち上げを検討している場合には、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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