企業法務コラム

2022年05月26日
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有期雇用→無期雇用にする無期転換ルール。派遣労働者も対象?

有期雇用→無期雇用にする無期転換ルール。派遣労働者も対象?

平成25年4月1日から改正労働契約法が施行され、新たに「無期転換ルール」が導入されました。これによって、多くの企業では、平成30年4月から有期雇用労働者の無期雇用転換への対応を迫られるようになりました。

このような「無期転換ルール」については、派遣労働者を雇用する派遣元会社(労働者派遣事業を行う会社)にも適用されるのでしょうか。また、適用される場合には、どのような点に注意したらよいのでしょうか。

今回は、労働者派遣事業を行う会社に向けて、無期転換ルールの適用とその注意点をベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、有期雇用の「無期転換ルール」

労働契約法の改正によって新たに導入された「無期転換ルール」とは、どのような制度なのでしょうか。以下では、無期転換ルールについて説明します。

  1. (1)有期雇用と無期雇用の違い

    無期転換ルールは、有期雇用労働者に対して適用されるルールです。そこで、まずは、有期雇用と無期雇用の違いについて説明します。

    有期雇用
    有期雇用とは、期間の定めのある労働契約のことをいいます。有期雇用契約は、パート、アルバイト、契約社員、派遣社員に多い契約形態です。

    無期雇用
    無期雇用とは、期間の定めのない労働契約のことをいいます。無期雇用契約は、有期雇用契約のように期間満了による契約の終了や契約の更新といったものはなく、原則として、就業規則等で定められている定年まで働き続けることを内容とする契約です。


    有期雇用と無期雇用を比較した場合には、無期雇用の方が労働者にとっては安定した働き方であるといえます。

  2. (2)「無期転換ルール」とは

    無期転換ルールとは、同一の使用者との間において、有期労働契約が更新されて通算5年を超えた場合に、労働者からの申込みにより、無期労働契約に転換する(無期労働契約が成立する)ルールです(労働契約法18条)。

    無期転換ルールが導入された背景には、有期雇用労働者の多くが無期雇用労働者と変わらず、長期間契約の更新を繰り返しながら働いているにも関わらず、業績悪化の際には契約を終了されるなど不安定な立場にあるという実態がありました。無期転換ルールは、そのような実態を踏まえて有期雇用労働者を保護することを目的にしたルールです。

  3. (3)契約期間による無期転換申込権の発生時期

    2以上の有期労働契約の期間が通算で5年を超える場合に、無期転換申込権が発生します。

    そして、無期転換申込権は、通算契約期間が5年を超えることとなる有期契約期間の初日からその契約期間満了日までの間に行使することができます。
    たとえば、契約期間が1年の場合には、5回契約を更新した後の6年目が始まった日からその契約終了日までに行使します。
    契約期間が3年の場合には、1回目の更新を行った後、更新後の契約期間の初日から無期転換の申し込みを行うことができます。

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2、派遣の場合、無期転換ルールは適用されるのか

無期転換ルールは、有期雇用労働者に適用されるルールですが、派遣社員にも適用されるのでしょうか。

  1. (1)派遣社員にも無期転換ルールが適用される

    無期転換ルールは、有期雇用労働者に適用されるルールであり、その適用にあたっては、パートタイマー、アルバイト、契約社員、派遣社員といった名称は問われません。そのため、派遣社員であっても、契約内容が有期労働契約であった場合には、無期転換ルールが適用されます

    派遣社員は、派遣先ではなく派遣元との間で労働契約を締結していますので、派遣元との通算契約期間が算定されます。無期転換ルールの要件を満たす派遣社員から無期転換の申し込みがあった場合には、当該労働者と派遣元会社との間に無期転換労働契約が成立します。

  2. (2)「派遣3年ルール」と無期転換ルールは別物

    労働者派遣事業を営む企業においては、派遣社員に関する期間の概念として「派遣3年ルール」というものがあります。無期転換ルールと混同している方もいますが、派遣3年ルールと無期転換ルールは、まったくの別物ですので注意が必要です

    派遣3年ルールとは、平成27年の派遣法改正によって導入されたルールであり、同じ事業所の同じ部署では3年以上働くことができないというルールです。無期転換ルールは、派遣社員を雇用する派遣元で雇用期間が問題になるルールであるのに対して、派遣3年ルールは、派遣先での派遣期間が問題になるという違いがあります。

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3、無期転換した労働者の扱い、5つの注意点

無期転換申込権の発生した有期雇用労働者の扱いにあたっては、以下の点に注意が必要です。

  1. (1)労働者から無期転換の申し込みがあったら、必ず無期転換しなければならないのか

    無期転換ルールを満たす有期雇用労働者から無期転換の申し込みがあった場合には、使用者は、その申し込みを承諾したものとみなされます。これによって、有期労働契約期間が満了した日の翌日から無期労働契約が成立することになりますので、会社は、無期転換を拒否することはできません

  2. (2)無期転換申込権が発生する前であれば、労働者を解雇・雇止めしても問題ないのか

    期間の定めのある労働契約は、期間満了によって終了するのが原則ですので、無期転換申込権が発生するよりも前の段階であれば、期間満了を理由に雇止めをしたとしても原則として違法にはなりません。

    しかし、契約の更新が繰り返され契約更新への期待が生じている場合や実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態になっている場合には、雇止めが違法になることもあります(労働契約法19条)。更新の際に契約書等の取り交わしを行っていない場合や、他の労働者も含めて原則として更新してきたという実績がある場合などでは、更新への合理的期待があると評価され、雇止めが違法になる可能性があります。

    なお、期間の定めのある労働契約の場合には、期間途中で解雇をするためには「やむを得ない事由」が必要となります(労働契約法17条1項)。これは期間の定めのない労働契約に比べて厳しい要件となっていますので、よほどの事情がない限りは期間途中での解雇は難しいです。

  3. (3)無期転換の申し込みがあった労働者を、解雇・雇止めはできるのか

    労働者からの無期転換の申し込みによって、会社は承諾したものとみなされて、有期労働契約の期間満了日の翌日から無期労働契約が成立します。そのため、無期転換の申し込みを行った労働者に対して、有期労働契約の期間満了日をもって更新を拒絶する旨の意思表示を使用者が行ったとしても、雇止めではなく解雇としてその有効性は判断されることになります。

    したがって、当該解雇に客観的に合理的な理由と社会通念上相当性があるかによってその有効性が判断されますので(労働契約法16条)、有効と判断される可能性は低くなります。

  4. (4)無期雇用に転換した労働者は、定年まで雇い続けなければいけないのか

    無期雇用に転換した労働者の労働条件は、別段の定めがある場合を除いて、従前の有期契約の労働条件と同一になります。また、契約期間の定めはなくなりますので、特に定めを置いていない場合には、契約の終了時期が定められていない(定年もない)ということになってしまいます。

    通常の無期雇用労働者について定年制を置いている場合には、無期転換労働者についても定年制を取りたいと考えられると思いますが、その場合には、無期転換労働者について適用される就業規則を作成するか、現在の就業規則の中に無期転換労働者についての規定を置くことによって、定年制を明確にしておく必要があります。

    ただし、定年制を置くなど別段の定めをする場合には、従前の有期雇用契約の労働条件から低下させるべきではないとされており、内容によっては違法となる可能性がありますので、作成の際には注意が必要です。

  5. (5)契約期間はどのように通算(カウント)するのか

    契約期間は、平成25年4月1日以降に開始した有期労働契約からカウントします。

    たとえば、平成24年6月1日から1年間の有期労働契約を締結して、更新を繰り返している有期雇用労働者は、平成24年6月1日から平成25年5月31日の契約期間はカウントされず、平成25年6月1日に開始した有期労働契約を起点としてカウントします。

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4、「無期転換ルール」導入の流れ

企業が無期転換ルールを導入する場合には、以下のような流れで進めていきます。

  1. (1)就労実態の把握

    まずは、無期転換ルールをいつまでに整備する必要があるかを確認します。そのためには、自社で働いている有期労働者の人数、職務内容、労働時間、契約期間、勤続年数などを調べて、無期転換申込権の発生時期を把握するようにしましょう。

  2. (2)担当する業務や処遇などの労働条件の確認

    無期転換によって、有期労働契約から無期労働契約に転換することになった場合には、業務や処遇を変更する必要性が生じることがあります。

    たとえば、契約社員と正社員では、扱う業務の内容が異なっているのが一般的ですので、無期転換によって、単に契約期間が有期から無期に変更するだけでなく、業務内容や労働条件についても変更をしなければならないことがあります。そのため、無期転換後の労働条件をどのようにするのかといった制度設計を考えていかなければなりません。

  3. (3)就業規則などの整備

    上記の制度設計を検討して、内容が定まった場合には、その内容に基づいて就業規則などの規定を整備する必要があります。無期転換者用の就業規則を新たに作成する場合には、従来の就業規則の見直しも必要になる場合があります

    なお、無期転換にあたって、職務内容などに変更がないにもかかわらず、無期転換後の労働条件を引き下げることは、望ましいものではありませんので注意しましょう。

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5、無期転換ルールでトラブルが発生する前に弁護士へ

これから無期転換ルールに対応することになる企業としては、適切な対応をとらなければ、労働者との間でトラブルが生じることが予想されます。そのため、これらのトラブルが生じる前に、弁護士に相談をするようにしましょう。

  1. (1)無期転換回避のための雇止めは違法になる可能性がある

    企業としては、無期転換申込権が発生する前に、有期雇用労働者を雇止めにしたいと考えることもあるかもしれません。

    雇止めの有効性については、これまでの更新状況や更新手続き、業務の内容などさまざまな要素を総合考慮して判断していくことになります。安易に雇止めをしてしまうと、雇止めの有効性をめぐって、労働者との間で訴訟などに発展するリスクもありますので、慎重に判断していく必要があります。

    これらの法的判断を正確に下すためには、専門家である弁護士のサポートが不可欠となりますので、事前に相談をしてからすすめるのが安心です。

  2. (2)無期転換ルールを正しく利用することがトラブル回避にとって重要

    無期転換ルールは、平成25年4月1日の労働契約法の改正によって導入され、平成30年4月から多くの企業で適用されるようになった比較的新しい制度です。そのため、無期転換ルールについての内容や手続きについては、まだ理解が進んでいるとはいえず、制度の誤解からトラブルが生じることも少なくありません。

    無期転換ルールを正しく利用するためには、制度に詳しい弁護士のサポートを受けながら制度設計などを行っていくことが有効です。制度を正しく利用することによって、トラブルを回避することができるだけでなく、働く労働者の意欲も高まり企業の発展へとつながることも期待できます

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6、まとめ

無期転換ルールは、有期雇用労働者に適用されるルールですので、派遣元会社と有期雇用契約を締結している派遣社員にも同様に適用されることになります。そのため、派遣元会社としては、派遣社員からの無期転換申し込みに対応するための体制を整備していく必要があります。

ベリーベスト法律事務所では、ワンストップで対応可能な顧問弁護士サービスを提供していますので、無期転換ルールをはじめとした企業のあらゆるお悩みについてもすぐに対応することができます。

無期転換ルールについてお悩みの企業の方は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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