企業法務コラム

2021年11月11日
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コーポレートガバナンスとは? 〜法的リスクに関する留意点〜

コーポレートガバナンスとは? 〜法的リスクに関する留意点〜

企業による不祥事や不正などによって、企業の信頼が傷つけられたときには、莫大な損害が生じてしまいます。企業における不正行為を未然に防ぐためには、コーポ-レートガバナンスを強化していくことが非常に重要となります。

コーポ-レートガバナンスが重要といわれても具体的に何をすればよいのか、そもそもコーポレートガバナンスとは何かということも十分に理解していない方もいるかもしれません。

今回は、コーポ-レートガバナンスとは何かについて、内部統制との違いなども含めてベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、コーポレートガバナンスとはどんなもの?

そもそも、コーポレートガバナンスとはどのような制度のことをいうのでしょうか。まずは概要を確認していきましょう。

  1. (1)コーポレートガバナンスとは

    コーポレートガバナンスとは、「企業統治」と訳される言葉で、企業経営において公正な判断や運営がされるようにさまざまな視点から監視・統制する仕組みのことをいいます

    大企業による不正や不祥事を防止する仕組みとして近年、注目されているようです。

  2. (2)コーポレートガバナンスを強化する方法

    コーポレートガバナンスの強化については、東京証券取引所が定めた「コーポレートガバナンス・コード」を参考にしながら、各企業においてその取り組み方を決めていくことになります。
    コーポレートガバナンスの強化を考えるにあたり、同コード第4章に含まれる以下の内容は特に重要です

    ① 業務執行機能の強化
    業務執行機能の強化として、執行役員制度を導入することも有効な手段となります。執行役員とは、業務執行の責任と権限を有し、取締役とは別に選任される役員です。業務を執行する役員とそれを監督する取締役会を分けることによって、相互に監査・監督することが可能になり、不祥事発生の牽制や不正の早期発見の可能性につながります。

    ② 内部統制機能の強化
    コーポレートガバナンスを強化するには、内部統制の整備と構築が重要となります。コーポ-レートガバナンス・コードの原則である「適切な情報開示と透明性の確保」を達成するためには、内部統制が十分に機能していればできません。そのためには、社内ルールを定め、それが遵守されているかどうかを監視・指導する体制の構築をしていきます。

    ③ 監査体制の強化
    企業内部での不正や不祥事を防止するためには、第三者的視点で監視することができる体制を導入することが有効な手段となります。そのためには、社外取締役や社外監査役などを設置することが有効です。内部監査だけでは気付くことができない不正についても外部の専門家の視点を導入することによって早期に発見し、改善することが可能になります。

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2、コーポレートガバナンスはなぜ必要? 非上場企業でも導入するべき?

コーポレートガバナンスを導入することによって、企業としてはどのようなメリットがあるのでしょうか。また、中小企業などの非上場企業でもコーポレートガバナンスを導入するメリットはあるのでしょうか。

  1. (1)コーポレートガバナンス導入のメリット

    コーポレートガバナンス導入によって企業には、以下のようなメリットがあるといわれています。

    ① 企業価値の向上
    コーポレートガバナンスを導入することによって、企業の対外的な信頼が向上し、優良企業であるとして認知されることで企業価値が向上するという効果が期待できます。企業価値は、株価にも影響するものですので、企業価値の向上に努めることによって、金融機関からの融資が受けやすくなるといったメリットもあります。
    そのため、コーポレートガバナンスの導入は、株主などのステークホルダーの保護だけでなく、企業にとってもメリットがある制度なのです。

    ② 経営陣の不正防止
    コーポレートガバナンス導入が求められている経緯には、経営陣による不正や不祥事が相次いだことがあります。企業にとっては、一度の不正であっても社会的信用を大きく損なうことになり、最悪のケースでは倒産に至ることもあります
    コーポ-レートガバナンスを導入し、内部および外部から企業経営を監視・監督していくことによって、このような不正や不祥事が発生する前に防止できると期待されます。

  2. (2)非上場会社でもコーポレートガバナンスが有効

    中小企業においても取締役や社外のステークホルダーによって経営陣による支配体制を監視し、牽制する仕組みが必要であることには変わりありません。しかし、中小企業では、オーナー企業のように株主が社長をつとめる企業が多くあります。

    オーナー企業では、取締役は社長によって任命されているため、社長の意に沿う形の意見しか期待できないことがあります。また、株主=社長であるため、株主などのステークホルダーによる監視が期待できません。

    このように、中小企業などの非上場会社では、経営牽制が困難であるという事情が強いため、よりコーポレートガバナンス導入の必要性が高いといえます。

    コーポレートガバナンス導入によって、企業価値が向上することが、今後、中小企業が生き残っていくために重要な手段となります。企業経営者としては、自らの意識改革をするとともに、積極的にコーポレートガバナンスを導入していくことが重要です。

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3、これとどう違う? 混同されがちなもの

コーポレートガバナンスと似た言葉に以下のようなものがあります。それぞれどのような違いがあるのでしょうか。

  1. (1)内部統制

    内部統制とは、会社の経営陣や従業員が公正に企業活動を行うための会社内部の仕組みやプロセスのことをいいます。そのため、株主やステークホルダーの利益を守る仕組みであるコーポレートガバナンスとは、明確に異なる制度となります。

    もっとも、コーポレートガバナンスを保つためには、内部統制システムの充実が必要不可欠となりますので、内部統制システムは、コーポレートガバナンスの一手段として用いられることもあります。

  2. (2)コンプライアンス

    コンプライアンスとは、企業活動における法令遵守を指す言葉です。しかし、現代においては、法令だけでなく、社内規範や社会規範、企業倫理といったものの遵守も含む概念と理解されています。そして、コンプライアンスを維持・改善していく仕組みがコーポレートガバナンスです。そのため、コンプライアンスについても、コーポレートガバナンスに含まれると考えておけばよいでしょう。

  3. (3)リスクマネジメント

    リスクマネジメントとは、企業があらかじめリスクを想定し、それを回避するためのプロセスのことをいいます。リスクマネジメントによって、想定できるリスクを回避し、被害を最小限に抑えるというプロセスは、企業経営を行っていく上では不可欠なものとなります。

    これもコーポレートガバナンスに含まれる機能です。

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4、コーポレートガバナンスの導入は弁護士へ相談

コーポ-レートガバナンスの導入にあたっては、外部の専門家による監視・監督体制を構築することが有効な手段となります。コーポレートガバナンスにおいて弁護士ができることとしては、以下のことがあります。

  1. (1)社外取締役・社外監査役就任

    社外取締役とは、会社の外部から選任される取締役であり、外部的視点によって企業経営の監視・監督機能を果たす役割を担う役員です。また、社外監査役も同様に会社外部の監査役で、外部的視点から監査を行う役員のことをいいます

    社内で選任された取締役も監査役も業務執行を監督・監査する権限を有していますが、十分な機能を発揮できていない会社が多いのが実情です。

    そのため、外部の専門家を社外取締役や社外監査役にすることによって、コーポレートガバナンスを強化することが可能になります。弁護士は、会社から独立した立場であるため、社外取締役や社外監査役に就任する上で、適任と言えます。弁護士を社外取締役や社外監査役にすることによって、法的観点から企業経営の不正やリスクを発見することに役に立つでしょう。

  2. (2)内部通報制度の窓口設置

    内部通報制度とは、不正や不祥事の早期発見と防止を目的として、会社内部に整備される制度のことをいいます。内部通報制度を設置することによって、不正や不祥事をあらかじめ防止することを期待でき、企業価値が低下を防ぐことが可能になります。

    しかし、企業内の内部通報制度は、通報者が特定されることを懸念して、積極的な通報を躊躇してしまうなど形骸化が進んでいます。内部通報制度に関して、弁護士が外部の通報窓口として対応することによって、内部通報者のプライバシーを守りつつ、通報を受けた内容について、法的観点から調査・監督を行うことが可能になります

  3. (3)コンプライアンス研修・講演

    コーポレートガバナンスは、経営陣や株主だけでなく従業員に対してもその考えを浸透させることが重要です。そのためには、定期的にコンプライアンス研修を行うことが有効な手段となります。専門的な研修や講演となると社内の人材だけでは適切に行うことが困難なこともありますので、企業法務に関する知識や経験の豊富な弁護士が対応することが有効な方法です

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5、まとめ

企業を取り巻くリスクが複雑化している現代では、コーポレートガバナンスを導入することによって、不祥事や不正を未然に防止する必要性が高まっています。コーポレートガバナンス導入にあたっては、外部の専門家である弁護士を関与させることが有効な手段となります。

ベリーベスト法律事務所では、顧問弁護士サービスの提供だけでなく、社外取締役・社外監査役の就任、内部通報制度の窓口設置、コンプライアンス研修・講演といったサービスを提供しています。コーポ-レートガバナンスの導入を検討しているようであれば、ベリーベスト法律事務所までご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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