更新日:2026年07月09日 公開日:2026年07月09日
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取適法の従業員数基準とは? 改正後の適用要件を分かりやすく解説

取適法の従業員数基準とは? 改正後の適用要件を分かりやすく解説

2026年1月1日から施行された「取適法」は、従来の下請法の内容を見直し、取引の適正化を図るための法律です。

取適法が適用されるかどうかは「資本金基準」と「従業員数基準」の2つによって判定されます。従業員数基準は、取適法の施行に伴って新たに追加された要件であるため、正しいルールを理解しておきましょう。

本記事では取適法の従業員数基準や、取適法違反によるトラブルの対策などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、取適法の従業員数基準とは?

取適法の従業員数基準(従業員基準)とは、取適法が適用されるか否かを判断する際に用いる基準の一つです。

「取適法」とは、規模の大きな委託事業者から業務を受注する中小受託事業者を保護するための法律です。正式名称は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払いの遅延等の防止に関する法律」といいます。

取適法が適用される場合、委託事業者は取適法のルールを遵守しなければなりません。

取適法の適用対象となるか否かは、適用対象となる取引の種類ごとに定められた「資本金基準」と「従業員数基準」によって判定します。

このうち従業員数基準は、発注者(委託事業者)と受注者(中小受託事業者)がそれぞれ常時使用する従業員の数を参照するものです。従来の下請法には設けられていませんでしたが、取適法の施行に伴って2026年1月から従業員数基準が追加されました。

資本金の額は企業規模の実態を必ずしも表していないケースがあるため、従業員数基準の追加によって、より多角的な視点から取引当事者の力関係が判定されるようになりました。

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2、取適法の適用に関する2つの基準|「資本金基準」と「従業員数基準」

「資本金基準」と「従業員数基準」のうち、いずれか一方でも満たしている取引には取適法が適用されます

資本金基準と従業員数基準の内容を解説します。いずれも「トンネル会社規制」が適用され得る点に注意が必要です。

  1. (1)取適法が適用され得る取引の分類

    資本金基準と従業員数基準の内容は、取引の種類によって異なります。取適法が適用され得る取引の種類は、次のとおりです。

    ① 製造委託
    次の業務を他の事業者に委託する取引をいいます。
    • (a)自社が業として販売し、または他社から業として製造を請け負った物品の製造または加工
    • (b)(a)の物品の製造に用いる型や特殊な工具の製造
    • (c)業として行う物品の修理に必要な部品や原材料の製造
    • (d)自社が使用または消費する物品、その物品の半製品・部品・附属品・原材料、または専らこれらの製造に用いる型や工具の製造(当該物品の製造を業として行う場合に限る)

    ② 修理委託
    次の業務を他の事業者に委託する取引をいいます。
    • (a)他社から業として請け負った物品の修理の全部または一部
    • (b)業として行う、自社が使用する物品の修理の一部

    ③ 情報成果物作成委託
    次の業務の全部または一部を他の事業者に委託する取引をいいます。
    • (a)自社が業として提供し、または他社から業として請け負った情報成果物の作成
    • (b)業として行う、自社が使用する情報成果物の作成

    ④ 役務提供委託
    自社が業として提供するサービス(役務)の提供の全部または一部を他の事業者に委託する取引をいいます。
    ※建設業を営む者が業として請け負う建設工事を委託する場合を除きます。

    ⑤ 特定運送委託
    次の物品を、取引の相手方(その相手方が指定する者を含む)に対して運送する行為の全部または一部を他の事業者に委託する取引をいいます。
    • (a)自社が業として販売し、または他社から業として製造や修理を請け負った物品
    • (b)他社から業として作成を請け負った情報成果物が記載・記録・化体された物品
  2. (2)資本金基準

    資本金基準は、取引の種類に応じて次のとおりです。委託事業者と中小受託事業者の双方の要件を満たす場合は、資本金基準を満たして取適法が適用されます。

    取引の種類 委託事業者 中小受託事業者
    • 製造委託
    • 修理委託
    • 情報成果物作成委託
    • 役務提供委託
    • 特定運送委託
    ※情報成果物作成委託と役務提供委託については、プログラムの作成・運送・物品の倉庫における保管・情報処理に係るものに限ります。
    資本金の額または出資の総額が3億円超 資本金の額または出資の総額が3億円以下
    資本金の額または出資の総額が1000万円超3億円以下 資本金の額または出資の総額が1000万円以下
    資本金の額または出資の総額が1000万円超 個人
    • 情報成果物作成委託
    • 役務提供委託
    ※いずれもプログラムの作成・運送・物品の倉庫における保管・情報処理に係るものを除きます。
    資本金の額または出資の総額が5000万円超 資本金の額または出資の総額が5000万円以下
    資本金の額または出資の総額が1000万円超5000万円以下 資本金の額または出資の総額が1000万円以下
    資本金の額または出資の総額が1000万円超 個人
  3. (3)従業員数基準

    従業員数基準は、取引の種類に応じて次のとおりです。委託事業者と中小受託事業者の双方の要件を満たす場合は、従業員数基準を満たして取適法が適用されます。

    取引の種類 委託事業者 中小受託事業者
    • 製造委託
    • 修理委託
    • 情報成果物作成委託
    • 役務提供委託
    • 特定運送委託
    ※情報成果物作成委託と役務提供委託については、プログラムの作成・運送・物品の倉庫における保管・情報処理に係るものに限ります。
    常時使用する従業員の数が300人超 常時使用する従業員の数が300人以下
    • 情報成果物作成委託
    • 役務提供委託
    ※いずれもプログラムの作成・運送・物品の倉庫における保管・情報処理に係るものを除きます。
    常時使用する従業員の数が100人超 常時使用する従業員の数が100人以下
  4. (4)注意すべき「トンネル会社規制」

    発注者が経営を支配する事業者を間に入れることにより、取適法の適用を免れようとする行為を防ぐために「トンネル会社規制」が設けられています。

    たとえばA社がB社に対して業務を委託し、その業務をB社がC社に対して再委託するケースを考えます。

    トンネル会社規制により、次の要件をいずれも満たす場合には、B社が委託事業者、C社が中小受託事業者とみなされて取適法が適用されます。

    • ① A社がC社に対して直接業務を委託すれば、取適法の適用を受けること
    • ② B社がA社から、役員の任免・業務の執行・存立について支配を受けていること
    • ③ B社がC社に対し、A社から受託した業務の全部または相当部分(金額または量の50%以上)を再委託すること

3、委託事業者(旧:親事業者)が守るべき義務と禁止行為

取適法が適用される取引について、発注者である委託事業者は次の義務を遵守しなければなりません。

① 取引条件の明示
発注日、業務の内容、代金の額や支払期日などの取引条件を、中小受託事業者に対して書面または電磁的記録によって明示しなければなりません。

② 取引に関する書類または電磁的記録の作成・保存
完了した取引の内容を明記した書類または電磁的記録を作成し、2年間保存しなければなりません。

③ 適切な支払期日の設定・遅延利息の支払い
代金(製造委託等代金)の支払期日は、中小受託事業者から給付を受領した日、または役務の提供を受けた日から起算して60日以内で、かつできる限り短い期間内で定めなければなりません。
代金の支払期日に遅れた場合は、年14.6%の割合による遅延利息を支払う義務を負います。

④ 委託事業者の禁止行為
正当な理由なく、次に挙げる行為をしてはなりません。
  • 受領拒否
  • 代金の支払遅延
  • 代金の減額
  • 返品
  • 買いたたき
  • 自社が指定する物やサービスの購入や利用の強制
  • 公正取引委員会、中小企業庁または事業所管省庁への通報に対する報復措置
  • 有償で支給した原材料等の対価を、代金の支払日より前に支払わせて、中小受託事業者の利益を不当に害すること
  • 自社のために金銭やサービスなどを提供させて、中小受託事業者の利益を不当に害すること
  • 給付内容の変更や給付のやり直しをさせて、中小受託事業者の利益を不当に害すること
  • 協議に応じることなく一方的に代金額を決定して、中小受託事業者の利益を不当に害すること

4、取適法違反によるトラブルの対策と相談窓口

委託事業者は、中小受託事業者とのトラブルを防ぐため、取適法のルールをきちんと遵守できるように対策を行うべきです。

中小受託事業者は、委託事業者から不当な取扱いを受けた場合は公的機関の窓口への相談を検討しましょう。

いずれの立場でも、すでにトラブルが発生している場合には弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)委託事業者がとるべき対策

    委託事業者としては、取適法のルールを踏まえたうえで、その内容を社内規程や発注フローに反映しましょう。取引に関与する担当者に対して、取適法に関する研修を行うことも効果的です。

    取適法に関する社内規程等の整備や研修などの対応については、弁護士がサポートを行っています。

  2. (2)中小受託事業者(旧:下請事業者)が不当な取扱いを受けた場合の相談窓口

    取適法違反に関する通報は、公正取引委員会・中小企業庁・事業所管省庁が受け付けています。中小受託事業者が委託事業者から不当な取扱いを受けたときは、これらの窓口に通報しましょう。

    通報に当たっては、事実関係をまとめた書面や証拠資料を提出する必要があるので、弁護士のサポートを受けることをおすすめします

  3. (3)取適法に関するトラブルは弁護士に相談を

    取適法が適用される取引について、すでに相手方との間でトラブルが発生している場合は、速やかに弁護士へ相談しましょう

    弁護士は取適法のルールを踏まえつつ、スムーズかつ妥当な解決を目指して尽力いたします。クライアント企業のご意向を尊重しつつ、不利益をできる限り抑えられるよう、状況に応じた対応方法を検討しますので、お早めに弁護士へご相談ください。

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5、まとめ

取適法が適用されるかどうかは、資本金基準と従業員数基準の2つに従って判定します。

取適法が適用される場合、委託事業者は取適法のルールを遵守しなければなりません。しかし実際には、取適法の遵守状況などを巡って、委託事業者と中小受託事業者の間でトラブルになるケースがあります。

取適法その他の観点から、取引の条件や取扱いなどについて疑問が生じた場合には、弁護士への相談をおすすめします。ベリーベスト法律事務所は、企業間取引に関するご相談を随時受け付けておりますので、お早めにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
この記事の監修者
杉山 大介
杉山 大介  弁護士
ベリーベスト法律事務所
所属 : 第二東京弁護士会
弁護士会登録番号 : 59418
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