近年では、企業がVtuber事業に参入するケースが増えています。しかし、Vtuberとの契約書をおろそかにすると、あとから大きなトラブルに発展するおそれがあるため注意が必要です。
たとえば、契約後にVtuberが未成年であることが発覚したり、誹謗中傷で突然引退してしまったりするケースが考えられます。こうした問題が起きたとき、契約書の内容が不十分だと事業に大きな影響が出る可能性もあるでしょう。
本コラムでは、企業がVtuberと契約書を締結する際にどのような点に注意すべきかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
Vtuberの契約のタイプは、雇用契約や準委任契約・タレント専属契約など、さまざまなものがあります。いずれの契約であっても、業務内容・報酬・権利関係などの基本事項は契約書に明確に定めておくことが重要です。
以下では、企業がVtuberと締結する契約書において、主に記載しておきたい事項を確認していきましょう。
契約書では、Vtuberが行う業務内容を明確にしておく必要があります。
たとえば、ライブ配信の実施・SNSでの発信・イベントへの参加・企業案件への出演契約などが挙げられます。想定される活動内容は、できるだけ具体的に定めておくことが望ましいです。
また、配信頻度や活動時間の目安、事前に企業の承認が必要な業務の範囲なども整理して記載しておきましょう。業務内容が明確に決まっていれば、企業とVtuberの認識のずれによるトラブルを防ぐことにつながります。
契約書では、金銭面でのトラブルを防止するために、Vtuberに支払う報酬の内容や支払い方法についても定めておきます。
Vtuberの報酬体系は、「完全歩合制」や「固定報酬制」、もしくは「固定報酬と歩合の混合制」とするケースが一般的です。広告収益やスーパーチャットなどに関しても、今後の状況変化を踏まえたうえで分配方法を明確に決めておく必要があります。
また、配信機材の購入費用や制作費・イベントに伴う交通費など、活動に必要な費用負担も取り決めておくとよいでしょう。
Vtuberと締結する契約書では、契約期間と専属契約の有無についても明確にしておく必要があります。
契約期間は、1年間・3年間・5年間などの一定期間の契約とするのがおすすめです。自動更新の有無や更新の条件・更新しない場合の手続きについても記載しておくと、契約終了時のトラブルを防ぎやすくなります。
また、Vtuberがほかの事務所や企業と活動することを認めるのか、あるいは自社の専属契約とするのかも重要なポイントです。専属契約とする場合には、個人名義での活動や他社案件の受託が可能かどうかなど、活動範囲を具体的に定めておきましょう。
企業のブランドや事業にかかわる活動を行う立場として、Vtuberの遵守事項(守るべきルール)を定めておくことも重要です。
代表的なものとして、企業の内部情報や未公開の企画内容などを外部に漏らさないようにする機密保持義務があります。また、企業の信用を損なわないよう、誹謗中傷や不適切な発言を控えるといったコンプライアンス規定を設けることも一般的です。
遵守事項を契約書で明確にしておくことで、炎上や情報漏えいなどの問題を防ぎやすくなるでしょう。
Vtuber事業では、配信動画やキャラクターなどのコンテンツに関する権利の扱いが重要なポイントとなります。
たとえば、配信動画の著作権やキャラクターの利用権を企業とVtuberのどちらがもつのかは、契約書に明確に記載しましょう。これらを定めておかないと、契約終了後にコンテンツを利用できるかどうかをめぐって紛争になる可能性があります。
また、契約違反があった場合の契約解除の条件や、違約金の規定も設けておくことが望ましいです。こうした規定を設けておくことで、契約違反の抑止効果が期待でき、違反があった場合の企業側のリスクも軽減できます。
Vtuber事業では、通常のタレント契約とは異なる特有のトラブルが生じることがあります。
以下では、Vtuberとの契約で生じやすい代表的なトラブルと、その対策について解説します。
Vtuberが実際には未成年であるにもかかわらず、その事実を隠して契約していたというケースがあります。
未成年者と契約を締結した場合、あとから一方的に契約を取り消される可能性があるため、企業側にとって大きなリスクとなります。
このような問題を防ぐためには、契約締結の段階で本人確認書類による年齢確認手続きを徹底することが重要です。公的な本人確認書類によって年齢を確認したうえで、未成年者の場合は保護者の同意を得るようにしましょう。
企業が制作したキャラクターや配信コンテンツを利用して、Vtuberが独自に活動してしまうというトラブルも想定されます。とくに、チャンネル登録者数やファン数が増加し、キャラクターの人気が高まった場合に問題が生じる可能性があります。
こうした問題を防ぐためには、契約書でキャラクターや配信コンテンツの著作権や利用権の帰属を明確にしておくことが重要です。誰が権利をもつのか、契約終了後にコンテンツを利用できるのかなどを具体的に定めておけば、無断利用を防止しやすくなります。
また、企業の許可なくコンテンツを使用して活動することを禁止する条項を設けておくことも有効です。
Vtuberは配信活動を通じて多くの視聴者と接するため、誹謗中傷などのインターネット上の攻撃を受けるリスクがあります。こうした状況が続くと、Vtuberが精神的な負担を抱え、無断で活動停止や引退してしまうケースもあるでしょう。
契約で業務を強制的に継続させることはできませんが、無断で活動を停止した場合の対応や、契約違反があった場合の違約金の規定を契約書に明記するなどの損害の回避のための方策をとっておくことはできます。
Vtuber事業では、Vtuber本人だけでなく、デザインや動画制作・イベントなどにかかわるさまざまな事業者と契約します。事業を円滑に進めるためには、関係する事業者ごとに契約書を整備し、業務内容や権利関係を明確にしておくことが重要です。
以下では、Vtuber事業において締結することが多い代表的な契約書と注意点について解説します。
Vtuberのキャラクターデザインや立ち絵を制作するイラストレーターとは、制作業務に関する契約書を締結します。とくに重要となるのが、キャラクターに関する著作権の取り扱いです。
完成したイラストの著作権を企業側に譲渡するのか、あるいは利用を認める契約とするのかは明確にしておく必要があります。
また、グッズ販売や広告への利用など、キャラクターをどの範囲で利用できるのかも具体的に定めておくとよいでしょう。
配信動画の編集や切り抜き動画の制作を外部に依頼する場合には、動画制作に関する業務委託契約書を締結することが望ましいです。
契約書では、編集作業の内容や納品方法・報酬などの基本事項に加えて、動画の著作権の取り扱いについても定めておきます。編集された動画の著作権が誰に帰属するのか、企業が自由に利用できるのかといった点を明確にしておくことが重要です。
また、外部に公開されていない情報を扱う場合もあるため、機密保持に関する条項を設けることも検討するとよいでしょう。
Vtuberがイベントに出演する場合には、イベント主催者との間で出演契約や業務委託契約を締結することがあります。
契約書では、出演内容や出演時間・報酬・イベント中止時の対応などを定めておくことが一般的です。とくに、イベントが中止になった場合の費用負担やキャンセル料は、事前に取り決めておくことが重要です。
また、イベントの様子を動画や写真として公開する場合には、その利用範囲についても契約書で確認しておく必要があります。
Vtuber事業では、ほかのエンターテインメント事業とは異なる法律問題が生じる可能性があります。企業側のリスクを適切に管理するためには、契約書の作成や内容のチェックについて、弁護士に相談することが有効です。
Vtuberに関する契約書について弁護士に相談する主なメリットは、以下のとおりです。
弁護士に相談するメリットのひとつは、Vtuber事業で起こり得るトラブルを想定した契約書を作成できる点です。
Vtuber事業では、活動停止や誹謗中傷・キャラクターの利用権など、特有のトラブルが生じるリスクがあります。こうした問題を想定せずに契約書を作成すると、トラブルが発生した際に十分な対応ができない可能性があります。
弁護士に契約書の作成やチェックを依頼することで、リスクを踏まえた条項を整備できるため、トラブルの発生を防ぎやすくなるでしょう。
Vtuber事業では、動画やキャラクターなどさまざまなコンテンツが関係するため、権利関係が複雑になりやすい特徴があります。
たとえば、著作権の帰属や配信動画の利用範囲・二次利用の可否などは、契約書で明確にしておくことが重要です。
弁護士に相談すれば、権利関係を整理したうえで契約書を作成できるため、コンテンツの利用をめぐるトラブルを予防できます。
契約書は、有利なものを作成すればそれで良いというものでありません。一部の法律は、契約よりも上位して効果が適用されるものもあります。そのため、最新の法令などについても理解した上での契約書作成を試みる必要があります。
そのような場面においては、弁護士の専門知識が必要になってきます。
Vtuber事業を始める際には、Vtuberとの契約書を作成し、業務内容や報酬・著作権などを明確にすることが重要です。契約内容が曖昧なまま事業を開始してしまうと、トラブルが生じた場合に適切な対応が難しくなる可能性があります。
Vtuberに関する契約書の作成やチェックに不安がある場合には、弁護士への相談を検討しましょう。弁護士に相談することで、リスクを踏まえた契約書を作成できるほか、トラブルが発生した際のサポートも受けられます。
Vtuber事業を安心して進めるためにも、悩んだときはベリーベスト法律事務所の弁護士にご相談ください。
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