企業法務コラム
相続に関して、「亡くなった親を扶養し、介護などを行ってきたことを理由に、他の兄弟が自分よりも多くの相続財産を求めてきたが、認めないといけないのですか?」とのご相談があります。
子による親の扶養や介護などの貢献を、法的には寄与分といいます。寄与分が認められる相続人は、他の相続人よりも多くの相続財産を取得することができます。
しかし、親に対する扶養や介護が寄与分と認められるためには要件があります。具体的には、扶養や介護が必要性のある特別な貢献であること、扶養や介護を行ったことによって被相続人の財産を維持または増加させたことが必要です。
たとえば、母親と一緒に住んで、母親の食費や光熱費を全部支払ってきたという扶養のケースで寄与分の有無を検討してみます。
まず、母親は食費や光熱費の負担を免れているため母親の財産を増加させたとはいえそうです。そこで、その負担が必要性のある特別な貢献といえるのかが問題となります。
もし、母親が貯金などの金融資産を豊富に持っているような場合には、そもそも食費や光熱費まで負担する必要性が認められず、必要性のある特別な貢献ということは困難です。
また、母親が経済的に困窮していたため生活費等の負担が必要であった場合でも、本来、親の扶養は子の義務であることから、支出した費用の全額が寄与分であるとは認められないでしょう。
次に、父親が認知症を発症したため、自宅で介護を行い、介護施設に入所した後は、頻繁に施設に通って、父親の療養看護を尽くしたような介護のケースを検討します。
まず、自宅介護に関する寄与分ですが、父親の病状が問題となります。具体的には,介護保険法上の要介護度2以上まで認知症が進行しているような場合には、介護の必要性があるということで、寄与分が認められる可能性があります。
次に、介護施設に通って療養看護を尽くした点の寄与分ですが、付き添い看護として行った場合には寄与分が認められる可能性があります。
しかし、付き添い看護といえるためには、施設側から付き添い看護の要請があったような特別な事情を要します。もし、施設側から付き添い看護の要請もなく、他に付き添い看護を必要とする特別の事情もないような場合には、療養看護のためではなく単に見舞いのために施設に通っただけであり、寄与分は認められません。
以上のように、親の扶養や介護で寄与分が認められるためには要件があります。相続において、寄与分が問題となる場合には具体的状況をよく検討した方が良いでしょう。
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