企業法務コラム
いわゆる5月病が気になる時期ですが、季節柄、この時期に増えるのが、4月に入社又は新規配属となった社員のうち、仕事の出来が悪い、遅刻を繰り返すなどの問題社員への対応のご相談です。
このような場合、試用期間中の社員の本採用拒否や降格・解雇などを見据えた対応が多いですが、勤務成績や勤怠という視点のみに捉われると思わぬ落とし穴にはまる場合もあります。
この種のご相談のたびに思い出すのが、かつて、勤務成績が非常に悪い新入社員に上司が厳しい叱責を繰り返したら、当該社員がパワーハラスメントで精神障害になったと主張し法的紛争になったケースです。
裁判所には、上司の叱責はパワーハラスメントではなく、精神障害も入社前の発病の可能性が高いとして、上司にも会社にも責任は無いと判断していただけましたが、会社は、この対応のため、弁護士費用・専門医への鑑定費用をはじめ多大な費用と時間を費やすことを強いられました。
おそらく精神障害の影響で勤務成績が悪かったのだと思いますが、もし、上司が厳しい叱責を繰り返す前に、精神障害の可能性を把握できていたら、違った解決ができたかもしれません。
会社は、社員の健康配慮義務を負うと解されており、うつ病などの精神障害については、発病の原因と発病した社員への対応という両面で、会社の責任が問題となります。
精神障害の発病に気付くには、発病前後の状況の変化を見逃さないことが重要ですが、4月からの新入社員や新規配属社員の場合、職場の上司はこれまでの社員の能力や人柄を十分把握しきれず、上手く成果を出せない原因が精神障害の影響なのか元々能力が無いからなのかの判断も難しいことから、適切な対応が取れない場合もあります。
このような問題の対応には、労働安全衛生法などの労働関係法令の知識やメンタルヘルスに係る知識も必要となりますが、弁護士や産業医などの意見を聞かずに対応し、前述のケースのように紛争になって初めて事態の深刻さを痛感するケースも少なくありません。
また、今後の適切な対応のため、社員の安全衛生に係る社内規程などの整備も重要です。
困った社員がいる等現在の社内規程で対応できるかなど、気になることがありましたら、どうぞお気軽に弊所にお問い合わせください。
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