企業法務コラム
派遣法は施行されてから何度も改正がなされてきた法律です。近年は派遣労働者の労働環境を守る目的の改正が多く行われてきました。
本コラムでは、派遣法で近年改正された12の項目を、その改正経緯も踏まえつつ、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説していきます。
労働者派遣法は、昭和61年に施行されてから、世の中の情勢に合わせて何度も法改正が行われてきた法律です。
近年は、派遣社員の雇用安定・キャリアアップ・待遇格差是正などを目的に、以下12項目の改正が行われています。
次の章から、改正の流れとともに解説していきます。
問題社員のトラブルから、
ここでは平成27年になされた派遣法改正のポイントについて紹介します。
特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別を廃止して、すべての労働者派遣事業が許可制になりました。
また、許可基準も改められ、キャリア形成支援制度を持つことなどが要件に追加されました。
これまでは専門業務などのいわゆる「26業務」については期間制限がかからず、その他の業務に最長3年の期間制限が設けられていました。
しかし、改正法ではそれを廃止して、個人単位および事業所単位の期間制限に変更し、すべて統一しました。
派遣元事業者と派遣先事業者双方に対して、派遣先で同種の業務に従事する労働者との均等待遇を図るために賃金の情報提供、教育訓練の実施に関する配慮などが義務付けられることになりました。
派遣元事業者は、雇用している派遣労働者のキャリアアップを図るために、段階的かつ体系的な教育訓練および希望者に対するキャリアコンサルティングを実施する義務が課されました。
問題社員のトラブルから、
令和2年4月1日に施行された派遣改正法では、派遣労働者の同一労働同一賃金を実現し、派遣先事業者の正社員と派遣労働者との不合理な待遇格差を解消するための改正が行われました。
令和2年の派遣法改正のポイントとしては、以下のものが挙げられます。
派遣元事業者は、派遣労働者の待遇を決定する方法として、「派遣先均等・均衡方式」または「労使協定方式」のいずれかをとらなければならなくなりました。
派遣労働者が待遇などの労働条件を正確に理解し、不合理な待遇格差を是正することができるようにするために、派遣元事業者から派遣労働者に対して、待遇内容や待遇決定に際しての考慮事項を説明する義務が課されることになりました。
派遣先事業者は、派遣元事業者に対し、派遣労働者が従事する業務ごとに、比較対象労働者の賃金等の待遇に関する情報を提供しなければなりません。
また、派遣労働者に対して同等の教育訓練を実施することなども求められます。
問題社員のトラブルから、
令和3年1月1日施行の派遣法改正のポイントとしては、以下のものが挙げられます。
派遣労働者がキャリアアップを図ることができるように、派遣元事業者が派遣労働者を雇い入れる際には、派遣元事業者において行われる教育訓練の内容やキャリアコンサルティングの内容を説明することが義務付けられました。
派遣元事業者と派遣先事業者との間で締結される労働者派遣契約は書面での作成が義務付けられていましたが、今回の改正によって、電磁的記録で作成することが認められるようになりました。
派遣労働者から苦情があった場合には、派遣元事業者だけでなく派遣先事業者も主体的に対応することが義務付けられることになりました。
問題社員のトラブルから、
令和3年4月1日施行の派遣法改正のポイントとしては、以下のものが挙げられます。
雇用安定措置(派遣先への直接雇用の依頼や新たな派遣先の提供など)は、平成27年の派遣法改正によって導入されたものですが、今回の改正では、雇用安定措置がより適切なものになるよう、派遣元事業者に対し派遣労働者の希望を聴取することが義務付けられました。
マージン率などの派遣元事業者による情報提供義務のある情報についてインターネットなどで開示することが義務付けられました。
問題社員のトラブルから、
上記で述べた通り、正規社員と非正規社員との格差などを是正するため、近年は派遣社員の待遇改善やキャリアアップといったことに重きを置いた法律の改正が行われてきました。
社員を派遣する事業者としては、これらすべてを守らなければなりません。
しかし、これから社員を派遣する事業を始めようと思っていらっしゃる企業には、なかなかすべてを理解し、対応するのは難しいことかもしれません。
新たな事業を始める場合、また会社の事業を継続していく場合にも、法的なリスクが訪れることがあるかもしれません。
会社の事業を円滑に進めていくためにも、顧問弁護士を活用し、そのリスクを予防していくことをおすすめします。
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