企業法務コラム

2022年07月21日
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独占禁止法をわかりやすく解説|規制内容・罰則・最新の改正

独占禁止法をわかりやすく解説|規制内容・罰則・最新の改正

独占禁止法は、事業者間の公正かつ自由な競争を促進し、消費者の利益を図ることを目的とした法律です。

事業者は、独占禁止法を正しく理解し、違反により刑事罰・過料・課徴金納付命令を受けるリスクを避けましょう。

今回は独占禁止法について、概要・規制される行為や状態・違反に対するペナルティー・最新の改正内容などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士がわかりやすく解説します。

1、独占禁止法とは?

独占禁止法は、消費者の利益を図ることを目的として、事業者間の公正・自由な競争を阻害する行為や状態を禁止しています

市場において公正・自由な競争が行われれば、商品やサービスの品質は向上し、価格の適正化も期待できます。

しかし、一部の事業者による市場の独占や寡占、他の事業者を締め出す行為などがなされると、公正・自由な競争は阻害されてしまいます。
そうなると、事業者による品質向上の取組はストップし、価格が不当に高く維持される事態になりかねません。

このような事態を防ぐため、独占禁止法では、公正・自由な競争を阻害し得る行為・状態を禁ずる規制を設けているのです。

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2、独占禁止法では何が禁止されているのか?

公正・自由な競争を阻害し得るとして独占禁止法で規制されている行為は、大きく以下の6つに分類されます。

  1. (1)私的独占|他の事業者を排除・支配

    「私的独占」とは、他の事業者を市場から排除し、または支配することで、競争を実質的に制限する行為です(独占禁止法第2条第5項)。

    具体的には、以下の行為が私的独占に当たる可能性があります。

    <排除型私的独占の例>
    • 不当な低価格販売
      原価割れで販売すること
    • 排他的取引
      取引相手に対して、競合他社との取引を禁止すること
    • 抱き合わせ販売
      需要の高い主力商品を販売する際、別の商品を一緒に購入させること
    • 供給拒絶、差別的取扱い
      合理的な範囲を超えて、特定の事業者に対する商品の供給を拒絶すること

    <支配型私的独占の例>
    • 株式取得などを通じて、競合他社の支配権を獲得すること


    私的独占に当たる行為は、一律で禁止されています(同法第3条)。

  2. (2)不当な取引制限|カルテルと入札談合

    「不当な取引制限」とは、複数の事業者が話し合って、商品やサービスの供給量や価格などを決めてしまう行為です(独占禁止法第2条第6項)。

    「カルテル」と「入札談合」の2種類に分類されます。

    • カルテル
      商品やサービスの価格・販売数量・生産数量などを、複数の事業者が話し合って決めること
    • 入札談合
      公共工事や公共調達などの入札に当たり、複数の事業者が話し合って、受注事業者や受注金額を事前に決めること


    私的独占と同じく、不当な取引制限も一律で禁止されています(同法第3条)。

  3. (3)事業者団体による競争制限行為

    複数の事業者から成る事業者団体が主導して、不当な競争の制限が行われるケースも想定されます。
    そのため独占禁止法では、事業者団体による以下の行為が禁止されています(同法第8条)。

    • 一定の取引分野における競争の実質的な制限
    • 不当な取引制限または不公正な取引方法を内容とする、国際的協定または国際的契約の締結
    • 一定の事業分野における、現在または将来の事業者数の制限
    • 構成事業者の機能または活動の不当な制限
    • 事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせること
  4. (4)企業結合|実質的に判断

    「企業結合」とは、株式保有や合併などを通じて、複数の事業者が結合することを意味します。
    「M&A」などと呼ばれることもあります。

    企業結合自体は有益なケースもありますが、事業支配力の過度な集中を招いたり、競争を実質的に制限する結果を招いたりする企業結合も存在するのが実情です。
    そこで独占禁止法では、企業結合を一律に禁止するのではなく、実質的に公正・自由な競争を阻害し得る企業結合のみを禁止しています(同法第9条以下)。

  5. (5)独占的状態|市場構造に注目

    「独占的状態」とは、一定規模以上の市場において、独占企業または寡占企業が過大な利益を得ており、かつその独占・寡占状態を打破することが難しい状態を意味します。
    具体的には、以下の①~⑤の要件をいずれも満たす場合、独占的状態に該当します。

    • ① 市場規模が年間1000億円超であること
    • ② 1社の市場シェアが50%超、または2社合計の市場シェアが75%超であること
    • ③ 新規参入を著しく困難にする事情があること
    • ④ 需給バランスなどに照らして、相当の期間商品・サービスの価格上昇が著しく、または低下が僅少であること
    • ⑤ 以下のいずれかに該当すること
      ・ 特定の事業者が、標準的な利益率を著しく超える過大な利益を得ていること
      ・ 特定の事業者が、標準的な金額よりも著しく過大な販売費・一般管理費を支出していること


    独占的状態にある市場には構造上の問題があり、自発的な改善は期待できないため、公正取引委員会による競争回復措置命令の対象とされています(同法第8条の4)。

  6. (6)不公正な取引方法|公正な競争を阻害し得る行為

    「不公正な取引方法」は、事業者間の公正な競争を阻害し得る行為です。
    以下に挙げる行為が、不公正な取引方法に該当します(独占禁止法第2条第9項)。

    • 共同の取引拒絶
    • その他の取引拒絶
    • 差別対価
    • 取引条件等の差別取扱い
    • 事業者団体における差別取扱い等
    • 不当廉売
    • 不当高価購入
    • ぎまん的顧客誘引
    • 不当な利益による顧客誘引
    • 抱き合わせ販売等
    • 排他条件付取引
    • 再販売価格の拘束など、拘束条件付取引
    • 取引の相手方の役員選任への不当干渉
    • 競争者に対する取引妨害
    • 競争会社に対する内部干渉
    • 優越的地位の濫用

    (参考:「不公正な取引方法(昭和五十七年六月十八日公正取引委員会告示第十五号)」(公正取引委員会))

    事業者が不公正な取引方法を用いることは、一律禁止です(同法第19条)。

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3、独占禁止法に違反するとどうなるのか?

独占禁止法違反を犯した場合、事業者は刑事罰や過料、さらに公正取引委員会による課徴金納付命令を受ける可能性があります

  1. (1)刑事罰や過料を受ける

    独占禁止法違反の各行為は、刑事罰または過料の対象とされています。

    • 刑事罰
      犯罪に対して、刑事裁判を通じて科されます。逮捕・勾留によって身柄を拘束されることもあります。刑事罰が科された場合は前科が付きます。
    • 過料
      違反者に対して課される行政罰です。金額は裁判所が決定しますが、過料を課されても前科は付きません。また、逮捕・勾留の対象にもなりません。


    主な独占禁止法違反についての刑事罰・過料は、以下のとおりです。

    違反行為の内容 罰則条文 量刑等
    • 私的独占
    • 不当な取引制限
    • 事業者団体による、一定の取引分野における競争の実質的な制限
    • 上記各行為の未遂
    独占禁止法第89条 5年以下の懲役または500万円以下の罰金
    ※法人・団体は5億円以下の罰金
    • 不当な取引制限に該当する事項を内容とする国際的協定または国際的契約の締結
    • 事業者団体による、一定の事業分野における現在または将来の事業者数の制限
    • 事業者団体による、構成事業者の機能または活動の不当な制限
    • 確定した排除措置命令※または競争回復措置命令※に従わない行為
    同法第90条 2年以下の懲役または300万円以下の罰金
    ※法人・団体は3億円以下の罰金(確定した排除措置命令または競争回復措置命令への違反)、または300万円以下の罰金(それ以外)
    • 排除措置命令違反(刑を科すべき場合を除く)
    同法第97条 50万円以下の過料

    ※排除措置命令
    独占禁止法違反に当たる行為を排除するために、必要な措置を講ずべき旨の命令です。公正取引委員会によって発せられます。

    ※競争回復措置命令
    特定の商品やサービスについての独占的状態を排し、競争を回復させるために必要な措置を講ずべき旨の命令です。公正取引委員会によって発せられます。

  2. (2)課徴金納付命令を受ける

    刑事罰や過料とは別に、独占禁止法に違反した事業者には、公正取引委員会により課徴金納付命令が行われることがあります

    課徴金額=違反期間中の対象商品・サービスの売上額or購入額×課徴金算定率

    • ※不当な取引制限または支配型私的独占の場合、違反期間中の財産上の利益に相当する額を加算


    課徴金納付命令の対象となる行為と算定率は、以下のとおりです。

    課徴金の対象行為 根拠条文 課徴金算定率
    • 不当な取引制限
    独占禁止法第7条の2 10%
    ※違反事業者およびそのグループ会社がすべて中小企業の場合は4%
    • 支配型私的独占
    同法第7条の9第1項 10%
    • 排除型私的独占
    同法第7条の9第2項 6%
    • 共同の取引拒絶
    • 差別対価
    • 不当廉売
    • 再販売価格の拘束
    同法第20条の2
    同法第20条の3
    同法第20条の4
    同法第20条の5
    3%
    • 優越的地位の濫用
    同法第20条の6 1%

    なお、違反の発覚前に公正取引委員会に対して通報を行った場合、課徴金の減免が認められることがあります(課徴金減免制度)。

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4、最新の独占禁止法改正の内容は? 課徴金制度の見直しポイント

2019年から2020年にかけて施行された改正独占禁止法では、課徴金制度の見直しが大きな注目ポイントとなりました。

具体的には、違反の実態に即した課徴金を課すことができるように、以下の変更が行われました。

① 課徴金の計算方法の変更
算定期間の延長や算定基礎項目の追加、事業承継子会社への課徴金賦課制度などにより、違反事業者が得た利益が、より幅広く課徴金算定に当たって考慮されるようになりました。

② 調査協力減算制度の導入
従来の課徴金減免制度では、公正取引委員会に対する違反報告の順位のみに従って、課徴金の減免率が設定されていました。
これに対して改正後の課徴金減免制度では、調査に対する事業者の積極的な協力を促すため、協力度合いに応じた減算制度が新たに設けられました。


<改正前>

申請順位 減免率
調査開始日前の申請 1位 全額免除
2位 50%
3位から5位 30%
6位以下 なし
調査開始日以後の申請 最大3社※ 30%
それ以降 なし

<改正後>

申請順位 申請順位に応じた
減免率
協力度合いに応じた
減算率
調査開始日前の申請 1位 全額免除
2位 20% +最大40%
3位から5位 10%
6位以下 5%
調査開始日以後の申請 最大3社※ 10% +最大20%
それ以降 5%

※調査開始前の申請と併せて5社まで

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5、まとめ

独占禁止法によって禁止されている競争制限行為は、非常に多岐にわたります。
各事業者は、知らないうちに独占禁止法に違反することがないよう、規制内容をよく理解しておくことが大切です。

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