企業法務コラム

2023年10月05日
  • 労使協定

労使協定とは? 締結すべき場合・手続きについて弁護士が解説

労使協定とは? 締結すべき場合・手続きについて弁護士が解説

労働条件について特別のルールを定める際には、「労使協定」の締結が必要となることがあります。労使協定とは、会社(使用者)と労働組合(もしくは労働者の過半数代表者)が書面で取り交わす契約です。

また、一部の労使協定については労働基準監督署への届出も必要です。労働基準法のルールを正しく踏まえた上で、適切に労使協定の締結・届出を行いましょう。

今回は労使協定について、概要・締結の手順・締結すべきケース・届出の要否などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、労使協定とは

労使協定とは、使用者と労働組合または労働者の過半数代表者が締結する、書面上の取り決めです。
労働基準法などの法律によって、労働条件に関する一定の制度を導入する場合などに、労使協定の締結が義務付けられています

  1. (1)労使協定の当事者

    労使協定は、使用者および労働者側の以下の者の間で締結します。

    • ① 事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合
      →その労働組合
    • ② 事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がない場合
      →労働者の過半数を代表する者

    労使協定は、事業場ごとに締結しなければなりません。

    また、管理監督者(労働基準法第41条第2号)や使用者側の意向に基づき選出された者は、労働者の過半数代表者として認められない点に注意が必要です(労働基準法施行規則第6条の2第1項)。

  2. (2)労使協定と就業規則の違い

    労使協定と就業規則は、いずれも事業場における労働条件を定めたルールですが、両者は主に以下の点が異なります。

    内容 労使協定 就業規則
    作成・締結すべき場合 特定の労働条件に関する制度を導入する際に締結する必要があります。 常時10人以上の従業員を使用する事業場において作成が義務付けられています(労働基準法第89条)
    定めるべき事項 導入する特定の労働条件に関するルールを定めます。 幅広い労働条件を定める必要があります(同法第89条)
    作成者(締結者) 使用者側・労働者側の双方が当事者として締結します。 使用者が作成します(ただし、労働者側に対する意見聴取が義務付けられています)
    労働基準監督署への届出の要否 労働基準監督署への届出が必要なものと不要なものがあります。 労働基準監督署への届出が必要です(作成義務がある場合に限ります)
企業の労働問題の弁護士相談
初回相談 30分無料
電話でのお問い合わせ
営業時間 9:30~18:00/土日祝除く
0120-733-043
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く

問題社員のトラブルから、労働裁判まで、あらゆる問題に対応!

2、労使協定を締結する際の手順

労使協定を締結する際の大まかな手順は、以下のとおりです。

① 労働者の過半数代表者の選出
事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数代表者を選出します過半数代表者は、事業場ごとに選出しなければなりません
また、管理監督者や使用者の意向に基づき選出された者は、労働者の過半数代表者として認められない点にご注意ください。

② 労働者側との交渉
労使協定の内容について、労働者側と交渉します。

③ 労使協定の締結
労働者側と合意した内容にて、労使協定を締結します。

④ 労働者に対する労使協定の周知
締結した労使協定の内容を、以下のいずれかの方法によって労働者に周知します(労働基準法第106条第1項、労働基準法施行規則第52条の2)。
  • (a)常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付ける
  • (b)書面を労働者に交付する
  • (c)磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が記録内容を常時確認できる機器を設置する

⑤ 労働基準監督署に対する労使協定の届出
届出を要する労使協定については、労働基準監督署へ届け出ます。
36協定(時間外労働・休日労働に関する労使協定)については、発効前の届出が必要です。

以下の記事では、36協定の締結に関する注意点を紹介していますので、併せてご参照ください。

企業の労働問題の弁護士相談
初回相談 30分無料
電話でのお問い合わせ
営業時間 9:30~18:00/土日祝除く
0120-733-043
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く

問題社員のトラブルから、労働裁判まで、あらゆる問題に対応!

3、労使協定を締結すべきケースの例

労使協定の締結義務は、労働基準法や育児・介護休業法によって定められています。
以下に挙げるのは、労使協定の締結が必要な場合の一例です。

  1. (1)労働者に時間外労働・休日労働をさせる場合(36協定)

    36(さぶろく)協定とは、法定労働時間を超えたり、休日労働となったりする場合に、労働者と使用者の間で結ばれる労使協定です。36協定を超えた労働をさせると、企業は懲役または罰金などのペナルティを科せられます。

  2. (2)有給休暇の計画的付与を行う場合(計画年休)

    有給休暇は労働者の権利です。そのため労働者へ有給休暇を計画的に付与する年休計画においても労使協定の締結が必要になります。

  3. (3)専門業務型裁量労働制を導入する場合

    専門性の高い特定の業務について、時間配分や業務手段など幅広い裁量を労働者にゆだねるのが専門業務型裁量労働制です。労働者は、労使協定で取り決めた裁量の範囲内で業務を遂行します。

  4. (4)変形労働時間制を導入する場合

    特定の範囲内において法定労働時間を超えた労働をさせるために、変形労働時間制を導入するケースがあります。この場合も労使協定が必要です。

    上記のほかにも、次の項目で紹介するように、さまざまな場面で労使協定の締結が必要とされています。

企業の労働問題の弁護士相談
初回相談 30分無料
電話でのお問い合わせ
営業時間 9:30~18:00/土日祝除く
0120-733-043
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く

問題社員のトラブルから、労働裁判まで、あらゆる問題に対応!

4、労使協定の労働基準監督署に対する届出|必要な場合・不要な場合

労使協定には、労働基準監督署への届出が必要なものと不要なものがあります。

  1. (1)労働基準監督署への届出が必要な労使協定

    労働基準監督署への届出が必要な労使協定は、以下の事項を定めたものです。

    • 使用者が、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理すること(労働基準法第18条第2項)
    • 対象期間を1か月超1年以内とする変形労働時間制(同法第32条の4第1項。ただし、就業規則に定めた場合は届出不要)
    • 常時使用する労働者が30人未満の小売業、旅館、料理店、飲食店において、労働者を1日10時間まで労働させることができること(同法第32条の5第1項)
    • 時間外労働、休日労働(同法第36条第1項)
    • 所定労働時間以外のみなし労働時間を定めた、事業場外みなし労働時間制(同法第38条の2第2項)
    • 専門業務型裁量労働制(同法第38条の3第1項)

    上記のうち、時間外労働および休日労働に関する事項を定めた「36協定」については、労働基準監督署への届出が効力要件とされています。
    そのため、36協定が発効する前日までに、労働基準監督署への届出を済ませなければなりません

    その他の労使協定については、発効後に届け出ることも可能ですが、できる限り早めに届出を行うことをおすすめします

  2. (2)労働基準監督署への届出が不要な労使協定

    一方、以下の事項を定めた労使協定については、労働基準監督署への届出が不要とされています。

    • 賃金の一部を控除して支払うこと(労働基準法第24条第1項。なお、法定控除については労使協定の締結が不要)
    • 対象期間を1か月以内とする変形労働時間制(同法第32条の2第1項)
    • フレックスタイム制(同法第32条の3第1項)
    • 休憩の分散付与(同法第34条第2項)
    • 代替休暇制度(同法第37条第3項)
    • 時間単位の有給休暇(同法第39条第4項)
    • 有給休暇の計画的付与(計画年休、同条第6項)
    • 有給休暇中の賃金を、標準報酬日額で支払う旨(同条第9項)
    • 育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇を取得できない労働者の範囲(育児・介護休業法第6条第1項、第12条第2項、第16条の3第2項、第16条の6第2項)
    • 時間外免除、短時間勤務を適用しない労働者の範囲(同法第16条の8第1項、第23条第1項)
企業の労働問題の弁護士相談
初回相談 30分無料
電話でのお問い合わせ
営業時間 9:30~18:00/土日祝除く
0120-733-043
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く

問題社員のトラブルから、労働裁判まで、あらゆる問題に対応!

5、労使協定の締結・届出を怠った場合の罰則

労使協定の締結義務を怠った場合、該当する労働条件については、労働基準法の原則的なルールが適用されます。

  1. (1)36協定の締結を怠った状態で、労働者に時間外労働をさせた場合

    たとえば36協定の締結を怠った状態で、使用者が労働者に時間外労働をさせたとします。この場合、使用者は法定労働時間に関する規制(労働基準法第32条)に違反しているため、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」の対象です(同法第119条第1号)。

  2. (2)労使協定の届出をしなかった場合

    また、労使協定の届出義務を怠った場合、使用者には「30万円以下の罰金」が科されます(同法第120条第1号)。

  3. (3)36協定を締結していないまま間外労働・休日労働をさせた場合

    なお36協定については、労働基準監督署への届出が効力要件とされているため、届出がなされていない36協定は未発効の扱いとなります。

    この場合、使用者の労働者に対する時間外労働・休日労働の指示は労働基準法違反に当たり、使用者には「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されます(同法第119条第1号)。

    さらに、上記の各違反行為が会社の代理人または使用人その他の従業者によってなされた場合には、会社にも「30万円以下の罰金」が科されます(同法第121条第1項)。

    労働基準法違反により罰則を受けると、会社のレピュテーションにも大きな悪影響が生じるため、労使協定の締結・届出を適切に行いましょう。

企業の労働問題の弁護士相談
初回相談 30分無料
電話でのお問い合わせ
営業時間 9:30~18:00/土日祝除く
0120-733-043
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く

問題社員のトラブルから、労働裁判まで、あらゆる問題に対応!

6、まとめ

労使協定の締結・届出が必要かどうかの判断は、労働基準法その他の法令に精通していなければ難しい部分があります。
労使協定に関するコンプライアンスを徹底するためには、弁護士への相談がおすすめです

ベリーベスト法律事務所は、人事・労務管理に関する企業のご相談を随時受け付けております。労使協定のドラフト作成や、締結・届出の手続きについても全面的に代行し、コンプライアンス重視の人事・労務管理をサポートします。

また、ニーズに応じてご利用いただける月額3980円からのリーズナブルな顧問契約もご提案しております。顧問契約サービスをご利用いただければ、人事・労務管理に限らず、企業法務全般についていつでもご相談いただけます。

労使協定の締結・届出に関するご質問や、顧問契約に関するご相談は、お気軽にベリーベスト法律事務所へご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
ご希望の顧問契約・企業法務に関するご相談について伺います。お気軽にお問い合わせください。
お電話でのお問い合わせ
0120-127-034
営業時間 平日 9:30~18:00
土日祝除く

同じカテゴリのコラム

テレビCM放送中

お問い合わせ・資料請求

PAGE TOP