契約を締結する際には、その内容をまとめた契約書を取り交わすことが大切です。契約書を作ることにより、当事者間の合意の内容が明確化されてトラブルの予防につながります。
契約書を作成するに当たっては、弁護士のサポートを受けるのが安心です。取引の実態に応じたアドバイスを受けられるので、適切な内容の契約書を作成することができます。
本記事では契約書の取り交わしについて、重要性や契約書を作成しなかった場合のリスク、手順や締結後の管理方法などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
契約書を取り交わす際には、取引が円滑に進み、かつトラブルが起こりにくいようにする配慮が求められます。具体的には、以下のポイントに注意して契約書案の内容をよく確認しましょう。
契約書には、取引の内容や必要な手続きなどを記載します。取引の実態に合わせて、これらの事項が正しく反映されているかどうかを確認しなければなりません。
たとえば売買契約書なら、内容面では「何を」「いくらで売るのか」が最も重要な事項です。
「代金はいつまでに、どのような方法で払うのか」「目的物をどのような方法で引き渡すのか」「所有権はいつ移転するのか」といった事項も、手続きの観点から重要といえます。
不動産の売買であれば、所有権を完全なものにするための登記手続きについても定めておくべきです。
このように、取引の流れを具体的にイメージしたうえで、必要な事項を契約書に定めましょう。
契約書の条文は、明確な文言で作成することが大切です。曖昧な文言が残っていると、その解釈を巡って当事者が対立し、トラブルに発展するおそれがあります。
たとえば、業務委託契約書において「甲は乙に対し、本業務に係る報酬を速やかに支払うものとする。」という条項があるとします。
報酬の支払時期は「速やかに」とされていますが、具体的にいつまでに支払えばよいのかが曖昧です。「○年○月○日までに」「成果物の納品を受けた日が属する月の翌月末日までに」などと、日付を特定して記載した方がよいでしょう。
もし契約書案に曖昧な文言が残っているときは、相手方に修正を提案しましょう。
契約当事者の立場は基本的に対等なので、どちらか一方にとってあまりにも不利な契約条項は不当といえます。自社にとって不利益の大きい条項が含まれている場合は、理由を示して修正を求めましょう。
たとえば、売買契約において「売主は、契約不適合責任を一切負わないものとする。」という条項が定められていたとします。
契約不適合責任は、目的物の欠陥等が判明した場合に、売主がその修補や代金の減額、損害賠償などの責任を負うものです。民法では契約不適合責任が認められており、その責任期間は原則として1年とされています。
したがって、契約不適合責任を一切免責する旨の条項は、買主にとって不利益が大きいと考えられます。それに、判例にしたがえば、一切責任を負わないと合意していた場合でも、その条項の効力を否定して責任を認めたケースもあります。あまりに一方に偏った条項は、効力が否定されることもあるのです。双方が了承できる、有効な条項を定めていく必要があります。
契約書を取り交わす際の流れと、各段階における注意点を解説します。
まずは、取引について決めるべき条件と、自社としての希望を整理しましょう。
たとえば、売買契約なら「何を」「いくらで」買いたいのかを決めます。
目的物について何らかの懸念がある場合は、その対処についても検討しておきましょう。たとえば土地の売買において、土地上にある建物を収去してもらいたい場合は、売買実行前の収去を売主に義務付けることが考えられます。
業務委託契約であれば、委託(受託)する業務の内容や報酬条件などが主要なポイントです。成果物を納入する場合は、納期や検収の条件・手続きなども重要となります。
このように、契約の種類や内容に応じてポイントを整理しておくと、スムーズに契約交渉へ進むことができます。
取引条件の整理が完了したら、相手方との間で下交渉を行いましょう。下交渉の段階では、主要な契約条件についての合意を目指します。
口頭で交渉しても、文書を提示し合っても構いませんが、文書の場合は「暫定的な内容であり、法的拘束力はない」旨を明確化しておきましょう。
下交渉が済んだら、その内容を反映した契約書案(ドラフト)を作成します。当事者のうちどちらが作成しても構いませんが、その取引に慣れている側が作成するケースが多いです。
契約書案には、下交渉で合意した条件のほか、細かい部分まで取引条件を定めます。「1、契約書を取り交わす前に確認すべきポイント」を参考にして、妥協することなくすべての条項を精査しましょう。
当事者間で何度もドラフトを往復させて、契約書全体の内容を詰めていきます。契約書全体について当事者の合意が得られたら、その内容を反映した最終版を作成します。最終版を作成する際には、誤字・脱字や条ずれなど、形式面についてのチェックも行いましょう。
完成した最終版の契約書に、当事者全員が調印して締結します。
紙の契約書なら、記名押印または署名捺印を行うのが一般的です。複数ページにわたる場合は、ホチキス止めまたは袋とじをして契印を押します。
電子契約なら、電子署名を行うのが一般的です。電子契約サービスを利用すると、簡単な操作で電子署名を付すことができます。
契約書を取り交わした後は、その契約書を適切に管理する必要があります。契約書の管理に当たっては、特に以下のポイントに注意してください。
契約書には、取引に関する重要な情報が記載されています。その内容が漏洩すると、取引が破談になる可能性があるほか、相手方からの信頼も失ってしまいかねません。
契約書に関する情報漏洩を防ぐためには、セキュリティーを強化することが必要不可欠です。
紙の契約書は鍵のかかるキャビネット等に保管して、その鍵を厳重に管理しましょう。
電子契約のファイルにはパスワードを設定し、さらに保存するフォルダにもアクセス権を設定して、閲覧できる従業員等の範囲を必要最小限に絞ってください。
有効期間が定められている契約書については、正確に有効期間を把握したうえで、満了の時期が迫ってきたら更新等の手続きを行う必要があります。
自動更新条項が設けられている場合は、更新拒絶をする場合に通知を行うべき時期も把握しておきましょう。
有効期間などはExcelシートを用いて行うことも考えられますが、各事業者がリリースしている契約管理サービスを活用する方法もあります。
契約書を変更する際には、変更契約書を作成しましょう。変更契約書には、原契約から変わった点を記載するか、または変更後の契約条項全体を記載します。
変更契約書の書面またはファイルは、原契約書とセットで保管しておくことが大切です。後に確認が必要となった際に、原契約書と変更契約書をスムーズに取り出せるようにしておきましょう。
取引に関する契約書を取り交わす際には、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は、法律のルールや契約実務について豊富な知識を有しています。トラブルに発展するリスクがないか、不当な不利益を受けることにならないかなどの観点から、契約条項全体を適切に精査することができます。
相手方に対して契約条項の修正を求める際にも、弁護士のサポートを受ければ適切な理由を示すことができるので、スムーズに修正を受け入れてもらえる可能性が高まります。
契約書の管理方法についても、弁護士にご相談いただければアドバイスいたします。セキュリティーや利便性などの観点から、クライアント企業にとって最適な方法をご提案いたします。
契約書の取り交わしや、その後の契約管理について相談したい方は、お気軽に弁護士へご連絡ください。
契約書を取り交わすことは、取引の内容や条件を明確化する観点からきわめて重要です。弁護士のサポートを受けながら、適切な内容の契約書を作成して取り交わしましょう。
弁護士は、契約書の内容のチェックや、契約書の管理方法についてのアドバイスを行っています。契約トラブルのリスクを最小限に抑えるためには、契約締結前に弁護士へ相談するのが安心です。
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