企業法務コラム
インターネットを利用している人であれば、誰でもネットトラブルに巻き込まれる可能性があります。
たとえば、デマ情報を拡散されて名誉毀損されたり、侮辱されて誹謗中傷されたり、なりすましアカウントで故意に炎上させられたりなどです。警察庁の発表した資料によれば、令和4年にネット上の名誉毀損で検挙にまで至った件数は、286件にのぼりました。
ネット上で名誉毀損や誹謗中傷を受けたとき、加害者に対して、慰謝料を請求するだけでなく、社会的に低下した名誉を回復させるための措置を請求することも可能です。
この記事では、ベリーベスト法律事務所で実際に対応したネット上の誹謗中傷事例などを挙げ、そこでとられた法的対応の内容などについて、当事務所の弁護士が紹介します。
個人の方はもちろん、企業や会社で誹謗中傷にお困りの場合は、どのように対応すべきか参考になさってください。
誹謗中傷を受けた場合、以下のように、法律上に基づいた対策を講じることが考えられます。もっとも、その前提として、誹謗中傷が違法行為あるいは犯罪に該当する必要があります。
具体的には、誹謗中傷は法律上で定義された言葉ではありませんが、一般的には、名誉毀損や、名誉感情侵害に当たる言動を指します。民事上、誹謗中傷であると認められるためには、問題となっている投稿やコメントが次のいずれかに該当する必要があります。
1点目は、誹謗中傷がそれ以上拡散して第三者の目に触れないよう、速やかに誹謗中傷を含む書き込みなどを削除する方法です。
投稿者が不明な誹謗中傷を削除するためには、サイトの管理者に対して削除請求を行う方法と、裁判手続きで削除命令を出してもらう方法の2つがあります。
2点目は、誹謗中傷を行った加害者に損害賠償(慰謝料)を請求する方法です。
ただし、ネット上での誹謗中傷は匿名で行われるため、加害者に慰謝料を請求するためには、加害者の身元を特定する必要があります。
加害者の身元を特定するためには、以下の2つの方法があります。
これらの手続きによって加害者の身元が特定できれば、示談交渉や裁判手続きなどによって、加害者に慰謝料を請求するという流れになります。
被害者が会社や企業などの場合、デマなどの間違った情報が拡散すれば、既存顧客からの信用を失ったり、新規顧客の獲得が困難となったりして、最悪の場合には業績にも大きな支障が生じかねません。
そこで、誹謗中傷による風評被害に対して、マスコミなどを通じて反論することも有効な方法のひとつであると考えられます。
このほかには、自社サイトや自社SNSなどで声明文を公表し、毅然とした対応を社会に示すという方法も考えられるでしょう。
加害者に対して裁判手続きで損害賠償を請求するとき、これと同時に、謝罪文の掲載を要求することも可能です。
謝罪文の掲載先や内容などは、被害者で指定して請求することができますが、加害者が個人の場合、新聞紙への謝罪広告の掲載は、コストが大きく、ほとんど認められません。
加害者のブログやサイトへの謝罪文の掲載を求めることが、現実的な請求であるといえるでしょう。
ネット上で誹謗中傷を受けたとき、拡散を防ぎたい、事実と異なると指摘したいなど、見過ごせない、何とかしたいと考える方が多いと考えられます。
しかし、加害者に直接反論したり、安易に声明文を掲載したりすれば、火に油を注ぐ結果となる可能性が高く、それまで関心のなかった第三者の興味を引いて余計に炎上したりするなどのリスクが考えられます。
そのため、早計に判断するのではなく、ネットトラブルの解決実績が豊富な弁護士などの第三者に相談し、アドバイスを受けることが望ましいといえるでしょう。
誹謗中傷を行う者がごく一部で、書き込みも1回きりであるというような場合には、無視しておくことが得策と考えられるケースもあり得ます。
しかし、複数人から誹謗中傷が行われており、それが繰り返されているようなケースでは、無視して放置していると情報が拡散し、事後に削除請求や損害賠償請求を行うことが物理的に不可能となってしまいかねません。
このような場合には、なるべく早い段階で書き込みを削除するとともに、加害者の身元を特定して法的責任を追及することが望ましいと考えられます。
個人でセレクトショップを営む被害者は、ネット上で「○×という店の商品は非正規品・模造品だ」という書き込みを発見しました。
被害者が取り扱う商品は、全てメーカーから卸した正規品で、非正規品や模造品を販売した事実はなく、このような書き込みを放置していれば、既存のお客様にも多大な迷惑がかかることから、弁護士による対応を依頼しました。
依頼を受けた弁護士から、サイト管理者に通知書を発送し、書き込みの削除を求めたところ、数日のうちに当該書き込みは削除され、閲覧が不可能となりました。
出典:解決事例一覧(ネットの誹謗中傷被害への対応―書き込み削除・開示請求・損害賠償請求|ベリーベスト法律事務所)
飲食店を経営する被害者は、主にネット記事を執筆するライターに、反社会的勢力とかかわりがあるとの内容の記事を作成されているのを発見しました。
そのような事実は一切存在しないことから、被害者は、弁護士に依頼し、ライターに対して、名誉毀損を理由に損害賠償を求めるとともに、謝罪文の掲載を求めて民事訴訟を提起しました。
その結果、「記事を削除し、謝罪文を掲載する」との条件で和解することができました。
出典:解決事例一覧(ネットの誹謗中傷被害への対応―書き込み削除・開示請求・損害賠償請求|ベリーベスト法律事務所)
上記は民事上での手続きですが、これとは別に、誹謗中傷は、名誉毀損罪として刑事上の責任を追及することも可能です。
平成29年に発生した東名高速での煽り運転事件に関して、無関係の会社を逮捕された容疑者の勤務先と思わせるデマの書き込みをネット上にした人物が、名誉毀損罪に問われました。
裁判は最高裁まで争われましたが、最高裁は、被告の上告を退けて、罰金30万円とする一審判決が確定しました。
出典:裁判例情報(裁判所)
これまで、ネット上での誹謗中傷への対応方法などをご紹介しましたが、ネット上の誹謗中傷は、削除請求や開示請求の実績がある弁護士に依頼することが適切です。
実績ある弁護士に対応を依頼すれば、
・違法な書き込みに対する削除が認められやすくなる
・仮処分や訴訟などの裁判手続きを利用できる
・スピーディーに対応でき、時間切れを防止できる
・加害者の法的責任を追及し再発を防止できる
などのメリットを期待することができるからです。
ベリーベスト法律事務所には、ネットの誹謗中傷に対する削除請求や開示請求の実績がある弁護士が在籍しています。ネット上での誹謗中傷被害に遭われたときには、ぜひお早めに当事務所までご相談ください。
ネット上の誹謗中傷は、炎上・拡散すれば対応が物理的に不可能となるリスクがありますので、迅速に、かつ、適切な対応が求められます。
個人の判断で加害者に反論や反撃をすれば、新たに無用なトラブルを発生させてしまうことにもなりかねません。
自分で対応方法を調べる時間がない、自分で対応することに不安があるなどの場合には、弁護士に相談することが適切です。
ベリーベスト法律事務所では、初回相談は60分無料で、ネットトラブルの解決実績をもつ弁護士が最大限サポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。
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