休職を繰り返す従業員(労働者)がいるときは、その原因を把握したうえでフォローを行いましょう。
どうしても改善されない場合は懲戒処分も考えられますが、解雇は厳しく制限されているので安易に行うべきではありません。事前に弁護士へ相談して、適切な対応のあり方を検討してください。
本記事では、休職を繰り返す従業員に対する企業の対応について、ベリーベスト法律事務所企業法務専門チームの弁護士が解説します。
休職を繰り返す従業員に対してとるべき対応は、具体的な状況によって異なります。次の手順で対応を行い、よりよい解決を目指しましょう。
どのような対応をとるかを決めるには、まず休職を繰り返している原因を把握する必要があります。
病気なのか、人間関係に不安があるのか、単にやる気がないのか……など、なぜ休職を繰り返しているのかを確認しましょう。
休職の原因を確認するためには、提出された診断書の内容を精査し、必要に応じて主治医との面談や産業医の意見を取得することが重要です。あわせて、タイムカードや業務メールなどの記録、本人や周囲の同僚などへのヒアリングが手掛かりになります。これらを総合して、真の原因を突き止めましょう。
本人に対してヒアリングを行う際には、できる限り重圧とならないように配慮することが大切です。混乱を防ぐために窓口を一本化したうえで、連絡頻度を事前に伝えるなどの配慮を行いましょう。
当該従業員に再び勤務して欲しいと考えるなら、従業員ができる限り早期に復職し、その後も休職へと逆戻りしないようにするためには、復職しやすい環境を整えることが重要です。
たとえば、従業員が人間関係に悩んでいる場合は、部署異動をして新しい環境で復職させることが考えられます。
業務の負荷が大きくストレスを感じている場合は、ほかの従業員をフォローに付けたり、業務の分担を見直したりすることが考えられるでしょう。
休職を繰り返している原因に応じて、その原因を取り除けるような環境を整えることが大切です。
医師の診察や産業医の意見などにより、医学的な背景がないことを確認したうえで、身勝手な理由による休職と判断できる場合は、最終的には解雇処分を行うことも考えられます。
ただし、従業員の行為の性質や態様などに照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇処分は無効となってしまいます(労働契約法第16条)。
安易にすぐ解雇処分を行うことは避け、段階的な対応を検討しましょう。
たとえば、まずは改善を促すために指導を行い、改善されなければ比較的軽い注意などを行うことが考えられます。全く改善の兆しが見えず、就労意思もないと言えるほどに欠勤が重なる場合には、解雇処分を手段として用いることも可能になってきます。
このように、段階的に対応を引き上げることにより、解雇処分が無効と判断されるリスクを抑えられます。
問題社員のトラブルから、
休職を繰り返す従業員のフォローも限界に達し、解雇したいと考えることがあるかもしれません。
一方で、休職制度は本来、療養の機会を与えて解雇を猶予するための制度です。そのため、休職制度があるにもかかわらず、制度を適用せずに解雇すると、原則として解雇権の濫用と判断されます。安易に解雇するのは危険なので、先に解雇以外の方法を検討してください。
休職を繰り返していることを理由とする解雇は、「普通解雇」の手続をとることが通常です。
普通解雇は、次の要件を満たしていなければ行うことができません。
普通解雇は、客観的・合理的な理由がなく、社会通念上相当とは認められない場合は無効となります(労働契約法第16条)。これは「解雇権濫用の法理」と呼ばれており、日本では厳格に適用されています。
休職を繰り返している従業員についても、安易な解雇は無効となるおそれがあるので注意が必要です。
なお、契約社員などの有期雇用の従業員を契約期間の途中で解雇する場合は、「やむを得ない事由」が必要とされ、無期雇用よりも厳しく判断されます。
普通解雇が認められる可能性が高いのは、たとえば次のようなケースです。
このように、普通解雇が認められるのは、かなり極端なケースに限られる点に注意が必要です。
休職を繰り返す従業員を解雇する前に、フォローや復職しやすい環境の整備を行うことが先決です。早めに諦めてしまうのではなく、できる限り復職できるようにサポートを尽くしましょう。
指導しても改善が見られない場合でも、すぐに解雇するのは危険です。改善指導や軽い懲戒処分(戒告・けん責)などから、段階的に対応を進めてください。解雇はあくまでも最終手段であると考えておきましょう。
従業員に休職を繰り返させないようにするには、復職をフォローする社内の仕組みや手続きを整えることが大切です。次の対応を行い、休職を繰り返す従業員の数をできる限り抑えましょう。
従業員の休職や復職については、場当たり的に対応するのではなく、基準を明確化しておくことが望ましいです。
たとえば、次の事項などを社内規程で定めるとよいでしょう。
なお、これまで通算規定がなかった会社が新たに通算規定を設ける場合は、従業員にとって退職につながる可能性が高まるため、労働条件の不利益変更にあたる可能性があります。再発しやすいメンタルヘルス不調の実情などに照らして、合理性が認められる範囲で整備することが大切です。
休職や復職に関する社内規程の整備については、弁護士へサポートを依頼することもできます。
休職していた従業員が復職する際には、いきなり大きなストレスがかからないようにすることや、スムーズに職場へなじめるように配慮することが大切です。
そのためには、復職までのプロセスを制度化することが効果的となります。
たとえば、休職者に対するフォローとして、休職期間中の連絡の内容や頻度を決めておくことが考えられます。メンター的な役割を果たす担当者を付けて、精神面でのケアを行うことも有効でしょう。
実際に復職する際には、試し出勤(リハビリ勤務)や勤務時間の短縮など、段階的に復職させる方法が考えられます。また、人事担当者によるフォローアップを数回程度行うと、復職後の様子や必要な配慮などを把握しやすくなるでしょう。
なお、復職を認めるかどうかは、原則として従前の職務を通常程度に行える健康状態まで回復していることを基準に判断します。判断にあたっては、本人から提出された診断書だけでなく、主治医や産業医の意見、本人の意向、職場の状況などを総合的に勘案することが大切です。職種が限定されていない場合は、従前の業務が難しくても、配置できるほかの業務がないかを検討する必要があります。
このような対応を、あらかじめ社内規程やマニュアルなどにまとめておきましょう。弁護士に依頼すれば、復職に関するプロセスの制度化についても丁寧にサポート可能です。
休職を繰り返す従業員への対応にお困りの場合、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は法的な観点から、休職者への対応についてサポートを行います。懲戒処分や解雇などのトラブルになりやすい対応についても、法的に認められるのかどうかを検討し、踏むべきステップをアドバイスできます。
もし休職者との間でトラブルに発展しても、和解交渉や裁判手続きを弁護士が代行できるため、安心です。
休職を繰り返させないための社内環境の整備についても、実務を通じて培った知見を基にアドバイスすることができます。就業規則をはじめとした社内規程の作成・変更も任せることが可能です。
ベリーベスト法律事務所では、ニーズに応じてご利用いただける顧問弁護士サービスをご提供しております。弁護士と顧問契約を締結すれば、人事・労務に関して幅広く、いつでもスムーズにご相談いただけます。
休職を繰り返す従業員がいるなど、労務管理についてトラブルを抱えている企業は、お気軽にご相談ください。
問題社員のトラブルから、
休職を繰り返す従業員への対応は、休職の原因や従業員の態度・様子などに応じて検討することが大切です。
解雇などの厳しい処分を行う前に、フォローや改善指導などを適切に行ってください。従業員とのトラブルのリスクを抑えるためには、弁護士へのご相談をおすすめします。
ベリーベスト法律事務所は、休職を繰り返す従業員への対応など、人事・労務に関する企業のご相談を随時受け付けております。
顧問弁護士サービスをご利用いただければ、疑問や問題が生じたときにいつでも弁護士へ相談することができます。
休職を繰り返す従業員を抱えて、どのように対応すべきかわからず悩んでいる場合は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。
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