更新日:2026年10月26日 公開日:2026年10月26日
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【令和8年12月施行】公益通報者保護法改正のポイントは? 弁護士が解説

【令和8年12月施行】公益通報者保護法改正のポイントは? 弁護士が解説

令和8年12月1日から、公益通報者保護法改正が施行されます。公益通報の実効性を高めるための改正が盛り込まれており、すでに内部通報制度を導入している企業や、常時雇用する労働者の数が300人を超える企業は影響を受けます。

法改正の内容を正しく理解し、速やかに社内体制の整備を行いましょう。

本記事では、令和8年12月から施行される改正公益通報者保護法について、概要と実務対応のポイントをベリーベスト法律事務所 企業法務専門チームの弁護士が解説します。

1、【令和8年12月施行】公益通報者保護法改正とは

令和8年12月1日から、公益通報者保護法改正が施行されます。今回の改正は、公益通報制度の実効性を高めることを目的としています。

「公益通報制度」とは、企業において行われた違法行為の通報に対して、一定の要件を満たす場合に、通報者を保護する制度です。解雇など、不利益な取り扱いを受けないことを保障することで、公益通報を促し、違法行為の早期発見や対処につなげます。

従来の公益通報者保護法でも、一定規模以上の事業者に内部通報制度の整備を義務付けるなど、公益通報制度の充実化が図られていました。
しかし現実には、以下のような課題が指摘されていました。

  • 義務に反して内部通報制度を整備していない事業者が見られる
  • 労働者などの間で内部通報窓口の認知率が低い
など

このような課題を解決するため、今回の改正では、公益通報制度の実効性を高めるための変更が盛り込まれました。

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2、公益通報者保護法改正のポイント

今回の公益通報者保護法改正のポイントは4点です。順に概要を解説します。

  1. (1)事業者が公益通報に適切に対応するための体制整備の徹底と実効性の向上

    1つめの改正点は、常時使用する労働者の数が300人を超える事業者に対し、内部通報制度の整備と周知を厳格に求めるものです。

    以前から、常時使用する労働者の数が300人を超える事業者には、「内部通報制度」の整備が義務付けられています。
    具体的には、「公益通報対応業務従事者」を定めたうえで、労働者などから公益通報を受け付けるための体制の整備などを行わなければなりません。公益通報対応業務従事者は、労働者などからの公益通報の受け付け、通報された事実の調査、および違法行為が判明した際の是正対応を行います。

    しかし実際には、上記の義務に反して内部通報制度を整備しない事業者が多く見られました。

    そこで今回の改正により、内部通報制度を整備義務の遵守を促すため、次の変更が行われました。

    ① 消費者庁長官の権限の強化(改正法第15条の2、第16条)
    公益通報対応業務従事者を指定しているかどうか確認するために、事業者に対して報告を求めることや、消費者庁職員に立ち入り検査をさせることができるようになりました。
    指定義務に違反した事業者に対しては是正勧告を行うことができ、勧告に従わない場合は命令と事業者名の公表をすることができます。

    ② 公益通報対応業務従事者の指定義務に対する罰則の創設(改正法第21条第2項、第23条第1項第2号)
    次のいずれかに該当する場合は「30万円以下の罰金」が科されるものとされました。
    • (a)義務に反して公益通報対応業務従事者を指定しなかった場合
    • (b)消費者庁長官に求められた報告を怠った場合、または虚偽報告をした場合
    • (c)消費者庁職員による立ち入り検査を拒み、妨げ、または忌避した場合

    ③ 内部通報制度の周知義務の明文化(改正法第11条第2項)
    内部通報制度の整備に加えて、労働者などに対してその周知を行うべき旨が明文化されました。
  2. (2)公益通報者の範囲拡大

    2つめの改正点は、公益通報者として保護される者の範囲が拡大したことです。新たに「特定受託業務従事者」が公益通報者に含まれるようになりました(改正法第2条第1項第3号)。

    【公益通報者の範囲】

    改正前 改正後
    • ① 労働者
    • ② 派遣労働者
    • ③ 請負事業者等の労働者または派遣労働者
    • ④ 役員
    ※①~③は、過去1年以内に該当していたものを含む
    • ① 労働者
    • ② 派遣労働者
    • ③ 請負事業者等の労働者または派遣労働者
    • ④ 役員
    • ⑤ 特定受託業務従事者
    ※①~③および⑤は、過去1年以内に該当していたものを含む

    「特定受託業務従事者」とは、業務委託先である個人(フリーランス)または代表者1人しか役員がいない法人(一人会社)の代表者をいいます。いわゆるフリーランス新法の適用対象者と同じです。
    先だって令和6年11月から施行されたフリーランス新法とともに、公益通報者保護法でも、フリーランスや一人会社の代表者が保護されるようになりました。

  3. (3)公益通報を阻害する要因への対処

    3つ目の改正点は、公益通報を妨害する行為や、公益通報をしようとする者を萎縮させる行為を禁止するものです。

    事業者は、公益通報を行うことができる者に対して、正当な理由なく公益通報を妨げてはならないものとされました(改正法第11条の2第1項)。
    具体的には、公益通報をしない旨の誓約や合意を求めること、公益通報をした場合に不利益な取り扱い(解雇など)をすると告げることなどが禁止されます。
    上記の規定に違反してなされた合意や、そのほかの法律行為は、無効とされます(同条第2項)。

    また、事業者が正当な理由なく公益通報者を特定しようとすることも禁止されました(改正法第11条の3)。

  4. (4)公益通報を理由とする不利益な取扱いの抑止・救済の強化

    4つ目の改正点は、公益通報を理由とした「労働者などに対する不利益な取り扱い」を抑止し、公益通報者の救済を強化するものです。

    具体的には、次の改正が行われました。

    ① 公益通報者に対する解雇等の無効(改正法第3条第2項、第4条第2項)
    公益通報者に対する次の行為は、無効とする旨が明記されました。
    • (a)労働者に対する解雇・懲戒処分
    • (b)派遣労働者に係る労働者派遣契約の解除

    ② 公益通報者に対する解雇・懲戒処分の罰則(改正法第21条第1項、第23条第1項第1号)
    公益通報者である労働者に対し、解雇・懲戒処分をした者は「6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」に処すものとされました。
    また、両罰規定によって法人にも「3000万円以下の罰金」が科されます。

    ③ 労働者に対する解雇・懲戒処分の違法性の推定(改正法第3条第3項)
    公益通報がされた日(行政機関や報道機関への通報については、公益通報がされたことを事業者が知った日)から1年以内に、公益通報者である労働者に対して解雇・懲戒処分が行われたときは、違法性を推定するものとされました。

    ④ 一般職の公務員等に対する不利益な取扱いの禁止(改正法第9条)
    従来は公益通報者保護法の対象外とされていた一般職の公務員などに対しても、公益通報を理由とする懲戒免職・分限免職、そのほかの不利益な取り扱いをすることが禁止されました。

3、公益通報者保護法改正について企業がとるべき対応

今回の公益通報者保護法改正は、常時雇用する労働者の数が300人を超える企業、すでに内部通報制度を導入している企業、およびこれから内部通報制度を導入しようとする企業に影響するものです。

法改正の内容を踏まえて、次の対応を適切に行いましょう。どのように対応すべきかお悩みの際は、弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)【常用労働者数300人超の企業】内部通報制度の整備

    常時雇用する労働者の数が300人を超える企業においては、以前から内部通報制度の整備が義務付けられていますが、実際には未整備の企業も多く見られます。

    今回の改正により、内部通報制度の整備義務を果たしていないと、消費者庁長官による勧告・公表や刑事罰を受けるおそれがあります。
    常時雇用する労働者の数が300人を超えており、内部通報制度をまだ整備していない企業は、速やかに内部通報制度を整備しましょう。

  2. (2)内部通報制度に関する運用の見直し|フリーランスの取り扱い、禁止行為など

    すでに内部通報制度を導入している企業や、これから内部通報制度を導入しようとする企業は、今回の改正を踏まえて制度内容の検討・見直しを行いましょう。

    具体的には、次の対応などが求められます。

    • 特定受託業務従事者(フリーランスや一人会社)からの内部通報を受け付ける
    • 正当な理由なく公益通報を妨げる行為や、公益通報者を特定しようとする行為を禁止する
    • 内部通報制度の存在や利用方法を、労働者などに対して十分に周知する

4、社内規程の見直しなど、法務上のリスク管理は弁護士に相談を

法改正に伴う社内規程・社内制度の見直しなどを行う際には、弁護士にご相談ください。弁護士は、クライアント企業を法務上のリスクから守るため、次のサポートなどを行っています。

  1. (1)法改正対応に関するアドバイス

    弁護士は法改正の内容を受けて、クライアント企業がとるべき対応について具体的にアドバイスを行います。
    社内規程や制度運用の見直しなどについて、法的な観点からアドバイスを受けることにより、将来のトラブルのリスクを抑えられます。

  2. (2)トラブルが発生した際の交渉・訴訟等の代行

    従業員・顧客・取引先などとの間でトラブルが生じたときは、相手方との交渉や訴訟などの対応を弁護士が代行可能です。
    法律上の取り扱いを踏まえた適切な対応により、スムーズに合理的な条件での解決を得られる可能性が高まります。

  3. (3)顧問弁護士による日常的なサポート|法改正にもスムーズに対応可能

    弁護士と顧問契約を締結すれば、日常の業務において疑問やトラブルなどが生じた際にも、速やかに弁護士へ相談することができます。
    顧問弁護士であれば、長期間にわたる関係性のなかでクライアント企業の内情を深く理解するため、より実態に合った的確なアドバイスを受けることが可能です。

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5、まとめ

令和8年12月1日から施行される公益通報者保護法改正により、企業が整備すべき内部通報制度に関する変更が行われます。
特に常時雇用する労働者の数が300人を超える企業、すでに内部通報制度を導入している企業、およびこれから内部通報制度を導入しようとする企業は、弁護士のアドバイスを受けながら適切に法改正対応を行いましょう。

ベリーベスト法律事務所は、公益通報者保護法改正や、そのほかの法改正対応に関するご相談を随時受け付けております。ニーズに応じてご利用いただける「顧問弁護士サービス」もご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
この記事の監修者
杉山 大介
杉山 大介  弁護士
ベリーベスト法律事務所
所属 : 第二東京弁護士会
弁護士会登録番号 : 59418
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