更新日:2026年08月17日 公開日:2026年08月17日
  • クレーム電話
  • 業務妨害

悪質なクレーム電話を威力業務妨害で訴えられる? 基準や対処法を解説

悪質なクレーム電話を威力業務妨害で訴えられる? 基準や対処法を解説

繰り返されるクレーム電話や口コミ投稿は、内容や態様によっては、威力業務妨害罪または偽計業務妨害罪等の犯罪に該当する可能性があります。

厚生労働省の令和5年度調査によると、従業員30人以上の企業・団体の27.9%が、過去3年間に顧客などからの著しい迷惑行為に関する相談があったと回答しました。
こうした状況を踏まえ、令和8年10月1日からは、事業主にカスタマーハラスメント対策が義務付けられます。

もっとも、強い口調のクレームがあったからといって、すぐに業務妨害として提訴できるわけではありません。問題になるのは、何度も電話をかけて業務を止める・虚偽の口コミを投稿するなど、企業の業務に支障を生じさせる行為です。

本コラムでは、どのようなクレーム電話が業務妨害に該当するのか、また企業が取るべき対処法や注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 削除問題専門チームの弁護士が解説します。

1、クレーム電話対応で仕事が進まない! 訴えることはできる?

業務に支障を生じさせる悪質なクレーム電話は、内容や態様によっては法的対応を検討できます。まずは、どこから「訴えることを考えるべき段階」に入るのか、整理していきましょう。

  1. (1)悪質な口コミやSNS投稿が原因でクレーム電話を繰り返される

    悪質な口コミやSNS投稿をきっかけに、企業へのクレーム電話が一気に増えることがあります。

    たとえば、事実関係が確認できない悪質なデマ投稿がSNSに拡散されたケースです。その内容をうのみにした人が、繰り返し苦情の電話をかけることで、企業はクレーム対応に追われてしまいます。

    このようなケースでは、最初の悪質な口コミから電話が何件増えたか、通常業務にどの程度支障が出たかまで含めて、被害を把握することが大切です。

  2. (2)何度も電話をかけられる・長時間拘束される

    何度も電話をかける・長時間にわたり従業員を拘束するといった行為は、威力業務妨害罪が成立する可能性があります。

    一般的な苦情の申し入れだけでは、業務妨害とはいえません。しかし、同じ内容の反復や長時間にわたる苦情は、状況によっては「通常のクレームの範囲を超える」と判断される場合があります。

    通常業務が止まるほど支障が出ている場合には、業務妨害として、警察や弁護士への相談を視野に入れる段階といえるでしょう。

  3. (3)威力業務妨害罪とは? 概要と法定刑

    威力業務妨害罪とは、威力によって他人の業務を妨害した場合に成立する可能性がある犯罪です。

    「威力」とは、直接的な暴力や脅迫だけを指すわけではありません。大声で怒鳴る・執拗(しつよう)に苦情を伝える・威圧的な態度で萎縮させるなど、相手の自由意思を制圧する行為も含まれます。

    威力業務妨害罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金です。実際の量刑は、事件の悪質性や被害状況・社会的影響の程度などによって異なります。

月額3980円(税込)から契約可能
初回相談 30分無料
電話でのお問い合わせ
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く
0120-127-034
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く
顧問弁護士のサービス・費用のご案内 ご相談の流れについて>

2、威力業務妨害罪はどこから成立する?

威力業務妨害罪が成立するかどうかは、行為の程度や態様・周囲の状況などによって総合的に判断されます。

具体的にどのような状況で成立する可能性があるのか、ケース別に確認していきましょう。

  1. (1)長時間の拘束や大声・威圧的な言動があるケース

    1人の人間が長時間にわたって従業員を拘束したり、大声で怒鳴ったりするケースは、威力業務妨害罪が問われる典型例です。

    ひとりの顧客と何時間も通話が続いた場合、担当者はほかの顧客対応ができない状況になってしまいます。また、大声で苦情を言う行為や暴言を浴びせる行為は、業務を妨害する「威力」にあたります。

    通常の範囲を超えたクレーム電話を受けた際は、通話内容や通話時間の記録を残しておくようにしましょう

  2. (2)同じ内容の電話を何度も繰り返すケース

    1人の人間によって同じ内容の電話が何度も繰り返されるのも、クレーム電話の一種と言えます。こういった行為も、反復性が強く業務に支障をきたすおそれがある場合は、威力業務妨害罪にあたる可能性があります。

    説明済みの内容などについてしつこく電話をかけられると、担当者が困惑するだけでなく、通常業務の遂行が困難になります。

    しつこい電話が続く場合は、着信回数や通話時間・対応した部署を記録しておくことで、悪質性を証明しやすくなるでしょう

  3. (3)無言電話や虚偽の口コミ投稿など偽計業務妨害が問題となるケースもある

    無言電話が何度も続くケースや、虚偽の口コミ・虚偽の事実に基づくSNS投稿が行われたケースでは、威力業務妨害罪ではなく、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。

    したがって、虚偽の内容の電話や無言電話・事実と異なる口コミ投稿などで業務に支障が出ている場合は、偽計業務妨害罪を問うことも視野に入れましょう。

    電話対応だけを切り離すのではなく、悪質な口コミやSNS投稿まで含めて被害全体を把握することで、適切に対応することが可能です

3、悪質なクレーム電話への対処法・注意点

悪質なクレーム電話に対しては、感情的に応じるのではなく、証拠を取りつつ組織的に対応することが重要です。

以下では、企業が取るべき基本的な対処法と注意点を解説していきます。

  1. (1)クレーム電話の通話記録を証拠として残す

    まず優先したいのは、クレーム電話の内容や回数を、客観的な証拠として残すことです。
    以下のような情報を記録しておくことで、あとから状況を説明しやすくなります。

    • 録音データ
    • 着信履歴
    • 対応日時
    • 通話時間
    • 担当者名
    など

    そのほか、クレーム電話に口コミやSNSの投稿が関係している場合は、その投稿のスクリーンショット・URL・投稿日時・投稿者名をわかる範囲で保存しておきましょう。

    また、対応者が精神的苦痛により医療機関を受診した場合は、診断書も被害の程度を示す証拠になります

  2. (2)対応する方針の選択

    証拠がある程度そろったら、その段階でどのような手段を取るか選択することになります。

    警告を送ってなお、相手が妨害行為をやめない場合は、刑事告訴しやすい状況が加わります。ただ、その時点で既に刑事事件化するに足りる資料が揃っているなら、警察に相談し、あるいは告訴などをし、次に何かを仕掛けてきたときにすぐに警察がその場で介入してくれる状況を作っておくというのも有効です。

    相手が妨害行動だけでなく何らかの要求をしてきている場合、強要や恐喝といったことなる罪を適用できないかを検討することもあります。

  3. (3)クレーム電話対応における注意点

    クレーム電話への対応では、相手の態度が悪くても、それに対して反論したり、こちらの主張をぶつけるのは意味がありません。そもそも論理的なやり取りで解決するのであれば、そのような問題のある電話のやり取りにはならないのです。

    不当な要求まで受け入れる必要はないため、むやみに非を認めるような言動は避け、証拠化するのであれば相手に話させる、それ以上の用がないのであれば一定タイミングで切り上げ、こちらが望んでいないのにしつこく連絡を取ろうとしてきているという状況を作るなど、相手方と対峙するための意識が必要になってくる場合もあります。

    また、悪質なクレーム対応をひとりの従業員に集中させるのは避けましょう。現場対応では、管理者への共有・相談窓口への引き継ぎ・上司との連携を前提とし、会社としてフォロー体制を整えることも大切です。

4、クレーム電話のお悩みは、弁護士に相談を

悪質なクレーム電話で悩んだときは、弁護士に相談することをおすすめします。解決に向けた選択肢を減らさないためにも、被害が広がる前に早めの相談を検討しましょう。

クレーム電話について弁護士に相談するメリットは、以下のとおりです。

  1. (1)訴訟を見据えた適切な証拠の集め方をアドバイスできる

    弁護士に相談するメリットのひとつは、訴訟を見据えて、どの証拠をどの形で残すべきかアドバイスできることです。

    裁判所に提出する訴状には、請求の内容だけでなく、それを裏付ける事実を記載する必要があります。そのため、以下のような証拠は、使いやすい形で整理しておくことが重要です。

    • 通話録音
    • 着信履歴
    • 対応記録
    • 診断書
    など

    初動の段階で相談しておけば、何を重点的に集めるべきかが明確になり、スムーズに対応しやすくなるでしょう。

  2. (2)クレーマーへの警告文の送付や交渉を代行できる

    クレーマーへの警告文の送付やその後の交渉を、弁護士が代わりに行える点も大きなメリットです。

    企業側が直接やり取りを続けると、感情的な対立が深まったり、不要な発言をしてしまったりするリスクがあります。弁護士であれば、弁護士名での内容証明郵便の送付や交渉の代行が可能です。

    第三者である弁護士を介することで、相手に法的対応を意識させやすくなり、結果として被害の拡大を防げる可能性が高まるでしょう

  3. (3)訴訟手続きや口コミ削除対応まで含めて対応できる

    被害が深刻な場合は、警告や交渉だけでなく、訴訟手続きや口コミ削除対応まで視野に入れる必要があります。早めに弁護士に相談・依頼することで、証拠収集から交渉、裁判所の手続きまで一括したサポートが可能です。

    特に口コミ投稿については、発信者情報開示命令では投稿の削除を求められないため、別途手続きを検討する必要があります。

    クレーム電話と口コミ被害が重なっているケースほど、早い段階で弁護士に相談し、どの手続きを優先するか整理することが重要です。

月額3980円(税込)から契約可能
初回相談 30分無料
電話でのお問い合わせ
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く
0120-127-034
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く
顧問弁護士のサービス・費用のご案内 ご相談の流れについて>

5、まとめ

悪質なクレーム電話や虚偽の口コミで通常業務に支障をきたしている場合は、業務妨害として罪に問える可能性があります。悪質なクレーム電話に悩まされている場合は、早めに法的な対処を検討することが大切です。

しかし、どの段階で警察へ相談すべきか、内容証明を送るべきか、訴訟まで視野に入れるべきかどうかについては、事案によって判断がわかれます。そのため、まずは通話記録や口コミ投稿の画面・診断書などの証拠を残し、被害の実態を整理することが重要です。

自社に合った対応方法がわからない場合は、弁護士へ相談することをおすすめします。早い段階で相談しておけば、取り得る選択肢を狭めずに、被害の拡大を防ぎやすくなるでしょう。

悪質なクレームへの対応にお悩みの方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所の弁護士へご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
この記事の監修者
杉山 大介
杉山 大介  弁護士
ベリーベスト法律事務所
所属 : 第二東京弁護士会
弁護士会登録番号 : 59418
企業法務全般・顧問弁護士のご相談は
初回相談
30無料
電話でのお問い合わせ
通話
無料
0120-127-034
営業時間|平日 9:30~18:00/土日祝除く
\ 資料請求・DLもこちらから/
メールでのお問い合わせ
  • 内容・ご事情によりご相談をお受けできない可能性もございます。
  • ご相談者様が、法人格のない個人事業主様の場合、初回相談は有料となります。
広告元:株式会社アシロ
法務トラブルを予防から補償まで、サブスク法務bonobo 攻めの法務と守りの補償を 弁護士費用保険bonobo

同じカテゴリのコラム

テレビCM放送中

お問い合わせ・資料請求

電話受付・営業時間|平日 9:30~18:00/土日祝除く

PAGE TOP