よくある質問

労働者の募集・採用に関する法的規制にはどのようなものがありますか。

Q

労働者の募集・採用に関する法的規制にはどのようなものがありますか。採用の際の労働条件の伝え方で留意すべき点は何ですか。

A

使用者には採用の自由があるので、募集・採用について自由が保障されています。しかしながら、この自由には、性別を理由とする採用差別の禁止など一定の制限が課されています。

また、採用の際の労働条件の伝え方については、使用者は、労働者に対して、賃金・労働時間その他の労働条件を明示する義務があります(労働基準法15条1項)。書面の交付による明示が必要な事項もありますので、契約書や労働条件通知書に記載して交付する必要があります。

【詳しい解説】
使用者には採用の自由があります。採用の自由は、契約締結の自由、募集方法の自由、選択・調査の自由の3つに整理されます。契約締結の自由があるため、採用についての規制に反する場合も契約の締結を強制されることはなく、行政指導等がなされ、不法行為として損害賠償責任が生じるにとどまります。
募集に関して、原則として、労働者採用の手段・方法について使用者は自由に決定できます。公募によらず縁故で採用することも自由です。ただし、第三者を用いた有償の委託募集は厚生労働大臣の許可が必要となります(職業安定法36条)。

使用者には、選択・調査の自由がありますので、いかなる基準で労働者を採用するかも自由であり、採用の基準を示すことも要求されません。
上述の採用の自由の制限としては、以下の法律があります。

■性別を理由とする採用差別の禁止
雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)は、「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。」(5条)と規定し、性別を理由とする採用差別を禁止しています。また、一定の間接差別による募集・採用差別も禁止されています(7条)。
違反した場合は、行政指導、厚生労働大臣の勧告に従わない場合の企業名公表、不法行為としての損害賠償責任等が考えられます。


■年齢を理由とする採用差別の禁止
雇用対策法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)は、「事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」(9条)とし、募集・採用について年齢差別禁止規制を導入しています。
違反した場合は、行政上の助言、指導、勧告、従わない場合の公表(同法33条)等が予定されています。


■労働組合員であることを理由とする採用差別の禁止
労働組合法は、労働者が労働組合に加入せず、もしくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること(「黄犬契約」)を不当労働行為として禁止しています(7条1号)。


■身体障害者・知的障害者の雇用義務
障碍者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関する法律)は、事業主に対し、一定の雇用率に達するまで、身体障害者または知的障害者を雇用すべき義務を課しています。


また、法律上の明文で制約が定められている場合に該当しなくても、例えば、職務内容や職業能力との関連性なく、思想信条、障害、性的指向、容姿、家族構成、血液型等を理由として採用拒否をすることは不法行為とされる可能性があります。

【採用の際の労働条件の伝え方】
次に、採用の際の労働条件の伝え方については、使用者は、労働契約の締結に際し、賃金・労働時間その他の労働条件を労働者に明示しなければならないとされています(労働基準法15条1項)。

明示すべき事項は、以下の通りです。

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①労働契約の期間に関する事項
②就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
③始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
④賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
⑤退職に関する事項(解雇の事由を含む)
⑥退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
⑦臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与及び賃金並びに最低賃金額に関する事項
⑧労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
⑨安全及び衛生に関する事項
⑩職業訓練に関する事項
⑪災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
⑫表彰及び制裁に関する事項
⑬休職に関する事項
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このうち①から⑤(④のうち、昇給に関する事項については除く)については書面の交付による明示が義務付けられています(同規則5条2項、3項)ので、労働条件通知書を交付するようにしましょう。

⑥から⑬については、定めていない場合は明示は不要です。
明示した労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除することができ(同法15条2項)、就業するために住居を変更した労働者がこの解除の日から14日以内に帰郷する場合は使用者は必要な旅費を負担しなければなりません(同法15条3項)。

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