よくある質問

繁忙期に有給を申請されました。別の時期に有給休暇をとってもらいたいが、可能でしょうか。

Q

社員から4月に3日間連続の有給休暇を申請されたのですが、4月は1年で最も繁忙期であり、また、この社員は繁忙期に必要不可欠な人材です。 そこで、別の時期に有給休暇をとってもらうようにしたいのですが、可能でしょうか。

A

状況によっては可能です。
従業員の指定した時期に与えることが事業の正常な運営を妨げるものか慎重に検討しましょう。

【詳しい解説】
使用者は、年次有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければなりません(「労働者の時季指定権」、労働基準法39条5項本文)。
ただし、労働者の請求した時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者は、他の時季に有給休暇を与えることができます(「使用者の時季変更権」、同法39条5項ただし書)。

労働者の指定した時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げると認められるには、当該労働者の年休指定日の労働が当該労働者の担当する業務を含む一定の業務単位の正常な運営のために不可欠であり、かつ、代替要員を確保することが困難であることが必要です。単なる業務繁忙や人員不足では認められません。

また、使用者は、できるだけ労働者が指定した時期に年休がとれるよう、代替要員確保など配慮しなくてはならず、そのような配慮をしていない場合には、事業の正常な運営を妨げる場合に当たるとの主張は許されません。
事業の正常の運営を妨げないにも関わらず時季変更をした場合、当該時季変更権の行使は違法となり、使用者は債務不履行もしくは不法行為に基づく損害賠償責任を負います。

よって、使用者としては、代替要員の確保などの点で相当の配慮をしても、必要人員の確保が困難であり、業務上の支障が生じるような場合に、適法に時季変更権を行使できることになります。

なお、時季変更権の行使は、単に承認しないことを伝えるのみで足り、他の時季を使用者が指定する必要はありません。

ただし、他の時季に与える可能性がなければなりませんので、当該労働者が退職前などで、他の時季に有給休暇を与える可能性がない場合には、時季変更権の行使はできません。
また、有給休暇の利用目的は自由であり、使用者がこれに干渉することは許されませんので、時季変更権の前提としてでも、原則としては利用目的を聞くことは許されません。

したがって、本件ではまず代替要員の確保ができるか等の検討を行い、どうしても確保ができず、当該労働者がいないと当該労働者の担当業務や当該労働者の担当する業務を含む一定の業務単位の正常な運営ができない場合には、時季変更権の行使が許されます。

時季変更権を行使する際は、年休の時季指定は原則として労働者が自由に行えるものであることを念頭に置き、慎重に検討しましょう。

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