よくある質問

労働組合からの団体交渉について、途中で交渉を打ち切りたい。どのようなリスクがあるでしょうか。

Q

当社は、従前から労働組合の団体交渉の申込みに応じてきましたが、なかなか合意に至りませんので、交渉を打ち切りたいと思っています。 当社が今後の団体交渉を拒んで、労働組合から不当労働行為と主張された場合、どのようなリスクがあるでしょうか。

A

団体交渉の打ち切りや、今後の団体交渉に応じないことが誠実交渉義務の不履行であり、団交拒否の不当労働行為であると評価されるおそれがあります。
その場合、労働委員会による救済命令を受ける可能性や、労働者が団体交渉を求める法的地位にあることの確認を求める訴訟(・仮処分)や、団交拒否により、組合及び労働者が損害賠償を求める訴訟を起こされる可能性があります。

【詳しい解説】
使用者には、労働組合と誠実に交渉する義務があります(誠実交渉義務)。使用者が誠実に交渉をしない場合には、団交拒否の不当労働行為となります。

最初から組合と合意する気はないと宣言した場合(高松地判昭和62年8月27日労判509号50頁)、組合の要求を拒否するだけでその根拠となる資料や対案を示さない場合(東京地判平成9年3月27日労判720号85頁)、合理性の疑われる回答に根拠を示すことなく固執する場合(東京地判平成9年10月29日労判678号47頁)では、誠実に交渉していないと評価されています。

一方で、会社側が誠意をもって資料を示して説明しているにもかかわらず、労働組合側が要求に固執したまま団交の継続を求める場合(東京高判昭和43年10月30日判時546号20頁)、根拠や資料を示したうえで十分に議論しているが、それでも主張が対立して合意に至れない場合(最判平成4年2月14日労判614号6頁)には、使用者は団体交渉を打ち切ることができます。すなわち、交渉の打ち切りが団交拒否の不当労働行為とはなりません。

したがって、本件については、合意に至らないという状態になるまでの交渉の経過が重要であり、交渉の中で会社が資料や主張の根拠を示しているか、必要に応じて譲歩する姿勢があるか等の点から誠実に交渉したかどうか、打ち切りをしても誠実交渉義務違反にならないかが評価されることになります。

誠実交渉義務に違反した場合、団交拒否の不当労働行為として労働委員会による救済命令を受ける可能性や、労働者が団体交渉を求める法的地位にあることの確認を求める訴訟(仮処分も)や、団交拒否により、組合及び労働者が受けた損害について損害賠償を求める訴訟を起こされる可能性があります

(1)労働委員会による救済命令
労働組合は労働組合法7条2号違反として労働委員会に救済を申し立てることができます(同法27条)。労働委員会が申立てに理由があると判断した場合、「当該理由によって団体交渉を拒否してはならない」、「当該事項について理由を示して誠実に団体交渉に応ぜよ」といった救済命令が発出されます。

(2)民事訴訟・仮処分
団体交渉を求めうる地位にあることの確認訴訟やその地位を仮に定める仮処分申立てがされる可能性があります。また、団体交渉拒否を不法行為として、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟がなされる可能性があります。

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