よくある質問

女性従業員から、セクハラを受けたとの相談を受けました。どのように対応すればよいでしょうか。

Q

当社の女性社員Cから、上司のD課長からセクハラを受けたとの相談を受けました。 C社員とD課長とは交際しているとの噂も聞いたこともあり、プライベートな問題にどこまで立ち入って良いのか迷っています。 とりあえずC社員の話だけは聞いてあげて様子を静観した方が良いでしょうか。

A

C社員及びD課長双方の話を聞くなどして事実関係を正確に把握し、セクハラの事実が認められた場合には、配置転換や、被害者の受けた不利益の是正、行為者に対する懲戒処分など適切な処置を検討、実施する必要があります。

相談後の調査等を怠った場合には、不法行為責任(民法709条)、債務不履行責任(同法415条)等に基づき損害賠償義務を負うことになります。

【詳しい解説】
男女雇用機会均等法11条1項は、事業主に、職場において行われるセクハラにより労働者が不利益を受け、または性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じる義務があると規定しています。
そして、厚生労働省は、同条4項に基づき、「セクハラ防止指針」を定め、必要な措置を明示しています。

■セクハラ防止のために、必要な措置を講じる義務がある
セクハラ防止指針は、労働者がセクハラについて相談してきた場合について、事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認しなければならないとしています。
相談窓口の担当者が相談者、行為者の双方から(必要な場合は第三者からも)聞き取り調査を行った場合には、確認義務を適切に履行しているものとされます。

また、調査の結果、セクハラの事実が認められた場合には、速やかに被害者に対して配置転換等の措置を適正に行い、行為者に対しても懲戒処分や配置転換等の措置を適正に行わなければなりません。
さらに、セクハラの事実の有無にかかわらず、改めて職場におけるセクシュアルハラスメントに関する方針を周知・啓発する等の再発防止に向けた措置を講じなければならないとされています。

■対応を怠ると、損害賠償義務を負う可能性もある
これらの義務を履行していない場合、発生したセクハラについて使用者責任や債務不履行責任を負う可能性が高くなります。
具体的には、行為者について不法行為責任(709条)が認められた場合には、使用者に使用者責任(民法715条)が認められる場合や、セクハラ防止に関する雇用管理上の必要な措置を講ずる義務を怠ったとして、職場環境配慮義務違反等の債務不履行責任(同法415条)が認められる場合が多いです。

また、使用者がセクハラ行為の発生が予見できたにも関わらず、それを漫然と放置し、その結果としてセクハラ行為が行われた場合や、セクハラ事案発生後に適切な調査等の措置を怠った場合には、使用者固有の不法行為責任(民法709条)、債務不履行責任(同法415条)等に基づいて損害賠償義務を負います。

■セクハラの相談を受けた場合の対応
当事者間のプライベートな問題にとどまる可能性はありますが、その場合でも、一方からセクハラとして相談された場合には、すぐに双方及び必要であれば第三者から聞き取り調査を行いましょう。

そのうえでセクハラなのかどうかを判断し、セクハラである場合には、被害者・行為者に適切な措置を講じ、さらに再発防止措置を講じなければなりません。
漫然と過ごしていると訴訟リスクもありますので、初期対応が非常に大事です。労働者から相談された場合にはすぐに弁護士にご相談し、迅速に対応しましょう。

予防法務の観点からも、このような事態に直面した場合にスムーズな対応ができるよう、予め想定しうる状況を視野に入れながら、就業規則等の整備や相談窓口の設置などの措置を講じておくことが重要です。

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