よくある質問

有期雇用社員に雇用期間の延長をしないで退職してもらいたい。どのように対応すればよろしいでしょうか?

Q

当社には、長期にわたる有期雇用社員が多数在籍しておりますが、最近会社の経営状態が悪くなったので、雇用期間の延長をしないで退職してもらおうと思っています。 雇止めについて法改正があったと伺ったのですが、具体的に当社はどのように対応すればよろしいでしょうか?

A

当該有期雇用社員の契約期間や更新回数、更新の際の手続きの内容などにより、当該社員が希望した場合に、

・有期契約の更新
・無期契約への転換

の可能性があります。
整理解雇を検討している場合には、有期雇用契約社員のみに限定せず、その他の社員にも希望退職を募る、人員削減以外のコストカットを優先するなど解雇回避措置をとることも、整理解雇として雇止めを行う前提として行うのがよいでしょう。


【詳しい解説】

従来から、期間の定めのある労働者の契約期間の更新拒絶(雇止め)については、判例によって一定の制限がされていました(雇止め法理)が、平成24年に行われた労働契約法の改正により、この雇止め法理が法文化され(労働契約法19条)、さらに無期労働契約への転換ルールが定められました(同法18条)。

■労働契約法19条による雇止め法理の条文化
労働契約法19条は、19条各号に該当する場合において、労働者が、契約期間満了前または期間満了後遅滞なく更新または契約締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなすと規定されています。

19条各号は以下のとおりです。
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1号:当該労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、更新しないことにより契約を終了させることが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できるとみとめられる場合
2号:労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められる場合
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「使用者は、従前の有期労働契約の内容である同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」とは、雇止めは無効であり、従前の労働条件と同一の条件の下で有期労働契約が更新されたことになるということを意味します。


■無期労働契約への転換ルール(労働契約法18条)
平成24年の改正では、新たに、無期労働契約への転換のルールが設けられました(労働契約法18条)。

これは
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①同一の使用者との間で締結された
②2以上の有期労働契約の
③契約期間を通算した期間が5年を超える労働者が
④現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に
⑤当該満了する日の翌日を始まりとする期間の定めのない労働契約の締結の申し込みをすること
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により、使用者がその申込みを承諾したものとみなされ、その時点で契約期間満了日の翌日を就労開始日とする無期労働契約が成立するというものです。
③の5年は、平成25年4月1日以後に締結または更新された有期労働契約のみを通算期間のカウントに入れます。

無期労働契約に転換された場合には、通常の解雇権濫用法理が適用されるため、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる場合に限り、契約関係を終了させることができます(同法16条)。

■経営状態の悪化を理由として整理解雇を行う場合
なお、経営状態の悪化を理由として整理解雇を行う場合には、その整理解雇の有効性は
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①整理解雇の必要性があるか
②解雇を回避する努力をしたか
③解雇者の人選基準や人選に合理性があるか
④解雇手続きに妥当性があるか
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という4要素から判断されます。

従前は、整理解雇手続きにおいて、有期雇用労働者は、契約の性質上正規社員に劣後した地位にあり、正規社員に先立って人員整理の対象とされても仕方ないとの考え方が主流でした。
しかしながら、正規社員と変わらない業務に就いている有期雇用労働者について人員整理の必要性等を厳しく判断する裁判例も出てきていますので、有期雇用労働者であるからといって、直ちに整理解雇の対象とするのは慎重になった方がよいでしょう。


■契約期間が通算5年以上となっている場合
本件では、雇止めをするにあたって、平成25年4月1日以降に締結または更新してから契約期間が通算5年以上となっている有期雇用労働者については、無期契約への転換の申し込みがなされる可能性があります。
この場合、無期契約に転換されますので、契約期間終了時の雇止めはできないということになります。

さらに、転換されたのちに整理解雇を行う場合には、その有効性は正規労働者であることを前提として判断がなされます。
また、長期にわたる有期雇用であるとのことですので、その「長期」の程度によりますが、労働者において更新がなされることを期待することについて合理的な理由があると考えられる可能性が相当程度にあります。

そのため、有期雇用労働者から有期契約の更新の申込みがなされた場合には、当該申込みを拒絶することが客観的な合理性、相当性がない限り、有期雇用契約が更新されます。整理解雇の一環として雇止めを行う場合には、有期雇用労働者であることを前提として有効性が判断されることになります。

有期雇用労働者の整理解雇についても厳しく判断される可能性がありますので、経営状況の悪化を理由として整理解雇(雇止め)を行う場合も、正規労働者も併せて早期退職者を募るなど人選に気を付けること、他のコストカットを優先させるなどの解雇回避の努力をすることなどに注意しましょう。

雇止めにおいては、紛争になりやすく、その有効性を検討するためには、これまでの判例や類似事案の検討を十分にする必要があります。
検討される際には、弁護士に相談することをお勧めします。

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