よくある質問
労働契約を締結している使用者(もしくは事業主)だけが労働契約上の安全配慮義務を負うのでしょうか。 また、法律に定める基準さえ守っていれば、安全配慮義務違反はないと理解して良いでしょうか。
そうとまではいえません。
労働契約法5条は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と定め、使用者の労働契約上の安全配慮義務を明記しています。
具体的には、「労働者が労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具等を使用しまたは使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務」(川義事件 最3小判昭59.4.10)と解されています。
そして、直接労働契約を締結していない場合でも、特別な社会的接触の関係にあるとして信義則上労働者に対して安全配慮義務を負うことがあると解されています(三菱重工事件 最1小判平3.4.11)。
【詳しい解説】
「一般に、行政法令上の安全基準や衛生基準は、使用者が労働者に対する関係で当然に負担すべき注意義務のうち、労働災害の発生を防止する見地から特に重要な部分にして最低の基準を公権力をもって強制するために明文化したものにすぎないから、これらの基準を遵守したからといって」(関西保温工業ほか1社事件 東京地判平16.9.16)安全配慮義務を免れるものと解することはできないと解されていますので、法律に定める基準を守ったからといって直ちに安全配慮義務を履行していたとまではいえない場合があります。
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